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レイアウトの基礎確認

Vol.100 2016年8月
レイアウトの基礎

1つの短め文章から3種類見本を作りました。
レイアウトの基本の確認にご利用ください。

リトル・ギャラリーもご覧ください!
【原紙づくり】
カリグラフィー・テクニック レイアウト原紙

レイアウト作りの基盤となる原紙づくりです。
文章はここで宣伝してなんですが、自著本、
「英語の名文をなぞる筆記体練習帳」研究社に記載、
スウェーデンの名言です。

「恐れるよりも望もう。
愚痴るよりも深く息を吸おう。
駄弁るよりも語ろう。
憎むよりも愛そう。
そうすればすべてが上手くいく。」
(訳:森山進)

本当に日々こういう心持ちになれれば確かにハッピーだよね、と素直に気持ちを向けられる言葉です。

今回のテーマにとっても短すぎず長すぎず、良い題材だと思いました。
この本は全英文は著作権切れなのでカリグラフィーの題材に持ってこいですよ(^_^)

原紙はスピードボール5で書いています。
5ミリの方眼紙だとひと升がちょうどxハイトの高さに適しています。

右側の数字についてです。
”→”の左側は各行の長さ、右側はそれよりも少し多くして切りよい数字にした長さ。
定規で測るのが嫌いな方多いので、慣れない人向けに測りやすい数字にしたこと、
イタリック体大文字の書き出しを本番ではゆったり大きく書くことが多いのでそれを見越しています。

行間はディッセンダーとアッセンダーがぶつからない余裕があり、
等間隔が基本としてください。

単語の綴りによっては行により微調整することもありますが
まずは今回はレイアウト作り初心者向けなので行間に余裕を持たせて原紙を作ってください。

大文字は少し大き目に書いていますが、ディッセンダー・アッセンダーは基本通りXハイトと同じ長さです。

【左寄せについて】
カリグラフィー・テクニック 原紙左寄せ

この原紙を左寄せレイアウトとしてそのまま使うのが一番楽です。

ただ左寄せでしかも装飾などなく文字のみの場合、
カリグラフィー作品としては手を抜いているように見られがちです。

背景やレイアウトの右側などを工夫し、なぜ左寄せにしたか
意味が分かりやすい仕上げを目指してください。

【センタリング】
カリグラフィー・テクニック センタリング
見辛いですが本番用の紙に薄くガイドラインを引いています。

紙はパーチメントという紙ですが羊皮紙ではないです。良い紙です。
ガイドラインの引き方は95.loveでガイドライン引き練習!を参考にしてください。

お教室ではこの練習だけでは足りず、数カ月後もう一回練習しました(2016年)。
それだけガイドラインに気を配るのが難しいということでしょうか。

とにかく出来る限り薄い線でお願いします。
ということを言いたくて写真も加工をせずこの状態で掲載しました。
鉛筆もビンビンですよ。

ご覧の通りセンタリングは中心線が大事です。
すでに測った各行の長さの真ん中が中心線になるように
割り算が面倒かもしれませんが、5行だけの話なので頑張ってください。

カリグラフィー・テクニック 羽ペン
お教室では2016年、みんなで羽ペンづくりを行いました。
サイトにその手順は書いていないのですが素材がなかなか手に入りにくいので
載せないほうが良いのかな、と判断しました。

購入されることがあればそこでお聞きになったほうが確実です。
手順が色々あります。

教室実習用としては羽ペンを羊皮紙工房さんでまとめ買いし、
手順を教えて頂いた上でカリグラファーズギルドの勉強会で知った手順も参考に
教室で実際にやって見せながら生徒さんにやってもらいながら
ゆっくり進められる方法にまとめてペン作りしました。

その羽ペンを今回スピードボールC-5と同じサイズにし、文字を書きました。

カリグラフィー・テクニック 重曹
まず文字部分を見て欲しいのですが大きなループが数か所あります。
こういうフワッとした動きは羽ペンは楽です。
それとセンタリングは全体の調子を見ながらバランスを取りやすいので
左寄せの次に楽かなーと思います。

ただし、ですがイタリック体のような装飾的な書体だから言えることで
きっちりと字を書くのみの書体は1行ずついかに正確に測って再現出来るかが大切です。

ここでは紙を燃やしたくて重曹を台所で盛っています(^_^)

カリグラフィー・テクニック 紙を燃やす
燃やしてま~す!

燃やした裏側のほうがススがついてより味があるのですが、
文字ギリギリに燃やす場合は今回のように文字面を上側にして重曹載せてください。
見事にその通りに燃えていきます。
カリグラフィー・テクニック コーヒーで汚す
紙を燃やした後、さらに古びた感を出したかったので紙をわざと汚しました。

インスタントコーヒーを濃い目に溶いて脱脂綿でポンポンします。

脱脂綿が水分を含んでいるので文字の上をポンポンしてもインクは滲まなかったです。
ケント紙のようなインクをあまり吸わない紙の上や、
脱脂綿ではなく筆を使った場合は滲むかもしれません。

心配な時は必ずテストしてください。

カリグラフィー・テクニック シーリングスタンプ
シーリングスタンプを使いました。
吉祥寺のジョヴァンニさんで買いました(^_^) シーリングワックスも。

全体はリトル・ギャラリーでご確認下さい!

【右寄せレイアウト】
カリグラフィー・テクニック 右寄せ
紙は光に充てるとキラキラ光るミランダです。
このような濃い紙は前述よりも軽く力を加えてガイドラインを引きます。

右寄せは1行ずつの長さの把握がとても大切です。

カリグラフィー・テクニック 右寄せ見本
文字はC-5でガッシュ(不透明水彩)の白を使って、
バラは水彩色鉛筆です。
右下の”Swedish Remark”とサインはゲルペンで書いています。

ガイドラインは無理に消さなくても良い程度です。
少しでも見えるのが嫌な方は頑張って消しゴムで叩きながら消してください。

【変形レイアウト】
カリグラフィー・テクニック 変形原紙
カリグラフィーは平行に文字を書くだけでなく、
円形や渦巻、カリグラムと言って何かの形の中に文字を書くなど
レイアウトは多様です。測り方も色々ですが、
ここでは簡単な方法を1つご紹介です。

まず原紙をコピーしてください。
方眼紙の線は見えたほうがよいです。

カリグラフィー・テクニック 変形用カット
ハサミで良いので各行を切り落とし、さらにディッセンダー部分も切り落とします。
アッセンダー+xハイトのみ各行残ります。これは文字の上側を曲げやすくするためです。

そしてひと文字(スペースや”,”も)分ずつ刻みをベースラインすれすれに入れ、フリンジ状にします。

カリグラフィー・テクニック ハート型
全文字が1つのハート型になるように刻みを利用して紙を曲げます。

実は最初からハート型にしようと思ったわけでなく、
全行がはみ出さず、かつ文章の流れを保ったまま1つの形・大きさにしようと
色々いじってたらこうなりました。

変形レイアウトの場合、先に形と大きさを決めてしまってから
丁度良く全文を収めるのはとても大変です。

今回のように文字の量が分かりながらどうまとめるか考えるのがお勧めです。

この方法だとディッセンダーと下のアッセンダーがぶつかったらどうしようと迷う必要もない、
(現実に全体がまとまっているのでおかしくない)
単語の文字間が離れたらどうしようと気にする必要もない
(”thing”の”hi”間が離れていますが全体を見れば変ではない)

とにかく全体を見ておさまりが良いと感じればそれでよしです。

カリグラフィー・テクニック トレース
本番はトレーシングペーパーの類であれば下が透けて見えるので上から直接文字を書けます。

そうでない場合はご面倒ですが薄手のトレーシングペーパーを置き、
鉛筆で形をなぞってガイドラインを引き、転写します。

この紙はクラシコで、厚手のトレーシングペーパーのように下が透けてみえつつしっかりしています。
前述のディッセンダーとアッセンダーがぶつかりそうな場合は
短くするなど基本の長さを気にせず書いてください。
堂々と書けば重なっちゃっても平気です。

カリグラフィー・テクニック パーチメントクラフト
ここからはパーチメントクラフトもどきです。
私はこのクラフトを勉強したことがないし、方法は全く知りません。
手持ちの道具でなんちゃってです。

ゴールドで文字を書いた後の作業です。
裏返し、スタイラスで模様を引っかくように書きます。
下に雑誌など置くとくっきりと引っかいた線が浮き出やすいです。そんなに力は必要ないです。

全体の模様が出来上がったら淵のレース部分をくり抜きます。
細身のデザインカッターで一個一個くり抜いてます。
この作品を見せた人には驚かれますが、慣れてくるので
ハートの片側だいたい30分くらいで終わりました。

集中力は必要なのでテレビ見ながらとかはやめてください。
カリグラフィー・テクニック マスキングインク
これはちょっと番外編。
パーチメントクラフトもどき用の封筒です。

折角下記2ページで続けてマスキングインクを取り上げたのでまた登場(^_^)
99.マスキングインク・ペンタイプを使う2
98.マスキングインク・ペンタイプを使う

カリグラフィー・テクニック ハート用封筒
マスキングインクが乾いたら水彩色鉛筆を水で濡らしながら彩色です。

写真では分かりにくいですが、金色に少し光ります。
これはパーチメントクラフトもどきにゴールドで文字を書いた際、
絵具の付いた筆を水が入ったコップの中でゆすぎ、その水で濡らしたからです。

それではリトル・ギャラリーもどうぞ(^_^)