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文字をギルディング

Vol.62 2011年4月
<2011年4月> 文字をギルディング

カリグラフィー・テクニック vol.62-1

もう10年前になるんですが、
ギルディングの基礎的なお話を載せました
(必要な道具の詳細はこちらを↑)

ギルディング糊はどこにでも売っているものではないので、
この時は比較的手に入り易いグロス・メディウムで説明しました。


今は、ネットでもギルディング糊を購入出来るので(2011年4月現在)、
うんと扱い易いこの糊で説明しています。

また、それぞれの仕上げは
リトル・ギャラリーをご覧下さい。

カリグラフィー・テクニック vol.62-2 細かい作業をやりやすいギルディング糊を使いますので、
仕上がりをイメージしてデザインしました。

春らしく、イチゴを絡めたサンキューカードです。

デザインが決まったら、
カリグラフィーペンを使った”T”部分も含めて、
輪郭をトレーシングペーパーに写し、
転写の準備をします。
(トレぺ裏側にも鉛筆の芯を擦りつけること、お忘れなく)
カリグラフィー・テクニック vol.62-3 左上は2011年2月のヴァレンタインとしてご紹介した、
カードでも使った糊です。
(カリグラフィー・ライフ・アソシエーションで扱っています)

そして先の細い丸筆。
写真の筆のサイズはR3ですが、同じ番号でも
メーカー等で異なるので、この手の筆は作品を作りながら
自分に合ったものを何本も買うしかないと思います。


肝心の作品部分ですが、すでにデザインは済ませて、
レイアウトもしっかり決まっているのだから
小文字を先に書いて欲しいです。

このようなデザインの時、左端から手をつけたくなりますが、
ギルディングの失敗より小文字の失敗のほうが
カリグラフィー作品としてはみっともないです。

なのでまず小文字を確実に。

糊づけは、縦の細いラインも上記の筆一本で塗りました。
鉛筆の輪郭線まで糊を乗せて下さいね。
(ギルディング完了後の消しゴムかけは大変なので)
カリグラフィー・テクニック vol.62-4 糊は、乾燥している時期で、かなりの厚塗りでなければ
30分程度見ていれば全体が透明になり、水分も飛びます。

箔を載せるのにちょうど良いタイミングです。

ただし、自分では厚塗りのつもりでなくても、
実際には糊を分厚く乗せてしまった場合は
30分では足りません。

焦らず時間に余裕を持って乾くのをお待ち下さい。

と言っても一番以上置きっぱなしはお薦めしません。
この糊は長時間経ってもべたつき感は残っていますが、
糊面に埃が落ちたり、と作品として良い状態でなくなります。

左端、黒の箔を頂いたので、使ってみたくて、、、
カリグラフィー・テクニック vol.62-5 こちらは、同じギルディング糊を、水で薄めたりせず、
直接ペン先にインクと同じように入れます。

そして一気に書いたところです。
筆で塗った時のような微かな膨らみは出ませんが、
フラットでもペン先のシャープ感を表現したい時にお勧めです。
カリグラフィー・テクニック vol.62-6 半端物の箔2色をフワッと乗せてギルディングです。

ということは、どこにどの色の箔が乗るか、正確にコントロール
することは出来ません。

もし、丁寧に色分けしたい時は
(この”T”の場合、例えば横線だけ金色にしたい、など)
箔の色別に糊づけも分けて作業して下さい。

ペン先では思い通りにいかない事もあるかもしれません。
筆も併用することを念頭に、糊づけの計画を立ててみて下さい。
カリグラフィー・テクニック vol.62-7 文字に背景がある場合、先に背景を塗ってしまうこともあります。

今回は、”T”の箔を乗せた後、雰囲気を見て
背景の濃淡を塗りたかったので、
背景は最後の作業となりました。
カリグラフィー・テクニック vol.62-8 カリグラフィー・テクニック vol.62-9
白い花びらの中央にポチッと箔を載せたかったのですが、
ボリュームが欲しかったのでジェルメディウムを使いました。

アクリル作品などの表面に凹凸のある艶を出したり、あるいは絵の具に混ぜて艶のある粘り気を出したり。
塗った直後は白いのですが(左上写真。見辛いですが)、乾くと半透明になります。

乾いた直後に箔乗せすると、結構大丈夫ですが、時間が経つとカチカチに乾いてしまいます。
ギルディング糊を持っている人は、
ジェルメディウム→ギルディング糊を上塗り→箔乗せ
この手順だと確実で楽です(右側参照)。

カリグラフィー・テクニック vol.62-10 1つの文字に筆やペンで糊づけすることに慣れたら、
もう1つやって欲しいことがあります。

輪郭線を書き、それを塗りつぶさないように糊づけして欲しいのです。
豪華な写本もケルトも装飾文字の多くは輪郭線で囲まれています。

特に文字に絡まった蔓の茎の中が白い場合は、
ホワイトヴァインという専門用語もあるくらい、輪郭線は大事です。

ここは文明の利器を使って水に滲まない、先の細いペンで
トライしてみましょう。

HOLBEINから出ているMAXON procolorU 0.5
線描と、筆を使った水彩絵の具のぼかしで
スケッチ画などを描く時のペンです。
カリグラフィー・テクニック vol.62-11 この輪郭線を避けて糊を筆で塗り、
その後ギルディングした状態です。

豪華本に出てくるやたらに複雑な絡みより
この程度のシンプルなデザインから慣れてみて下さい。

これが綺麗にギルディング出来なければ、
複雑な模様はもっと無理なわけですから。

ですが、とても気に入った装飾文字を本などで見つけたら
模写してみることをお勧めします!