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スパッタリング 超基礎

Vol.81 2014年2月

スパッタリングは過去何度も取り上げてきているので、
もうそんな説明しなくていいかなー(過去のページを観てもらえれば)、と思ってました。

ですがお教室で生身の人間に教えていると苦手、面倒と思っている生徒さんが多く、
この度(2014年1,2月)基本の道具、絵の具の溶き方からゆっくり丁寧に教室で教えてみたところ
改めて「こりゃあかんわ」(<(_ _)>)と実感し、サイト上も説明し直すことにしました。

カリグラフィー部分を含めたり、変わり種道具など趣味に走らず、純粋に基本の道具で
スパッタリングの説明です!

これで出来なかったらもう知りません(^^ゞ

    
【基礎編1】

右写真の内容です。

   左端上 : 古い官製はがき(型紙用) 
   左端下 : 作品用ハガキ

   左から2番目 : ぼかし用網
   左から3番目 : ぼかし筆
   左から4番目 : 水彩用丸筆
   左から5番目上 : 水
   左から5番目中 : 絵具用溶き皿
   左から5番目下 :      〃  (絵具出してます)
   右端 : 透明水彩絵の具(こんいろ)
basic spattering1
スパッタリングしたい模様をカッターでくり抜きます。

官製はがきに鉛筆で模様を書き、
ご自分が使いやすいカッターナイフで
慌てずゆっくりくり抜きましょう。

この程度の紙のサイズでしたら、
紙を切り易い方向に回しながら切ると、
切り口がキレイです。

この手の型紙はケント紙を良く使いますが、
適度の厚みが必要です。

良く分からない方は
この官製はがきを型紙に使う事をお勧めします。
basic spattering2
絵具の溶き方、ビギナー対応です!

溶き皿に絵具を入れたら水を足して濃度を調整します。

その際、水差しや水道蛇口から直接足したくなるものですが
絶対絶対止めて下さい。


もう1個、溶き皿など容器を準備し(右写真真ん中)、
ここに水を入れておきます。

細すぎない程度の水彩筆で良いので、
ここからたっぷり水を含ませ絵具を混ぜます。

濃かったらまた同じ作業を行います。

右の写真はカリグラフィーペンで字を書くなら
これくらいかなー、という感じの濃さです。

basic spattering3
上の状態でもスパッタリングは出来ますが
作業を確実にするためさらにもう少し水を加え、
ちょっと水っぽい状態まで絵具を溶きます。

右の写真を観て下さい。

手前の絵の具は水っぽくなり、
真ん中の水だけを入れていた溶き皿は水分が減り、
絵具の色に染まっています。

面倒な作業ですが
絵具は濃すぎても薄過ぎてもスパッタリングし辛いので
大事な工程です。

インクは元から水っぽい製品でしたら
(ペンだと滲み易い、字の色が薄いなど)そのままお使い下さい。

スパッタリングは絵の具を沢山使うので
ご自分の予想より多めに溶いておくことをお勧めします。
basic spattering4

ぼかし用網(以下「網」)に絵具を乗せます。
以下の点気をつけて下さい。

・先に作品の上に型紙を乗せておく
(写真左:型紙と作品は同サイズ)

・作品から離れたところで絵の具を網に乗せる
(何度注意しても作品の上でやってくれます)

・絵の具を網に乗せる際、筆は細すぎない事

・筆に絵具をたっぷり含ませ、
網の上では筆先全体をフワッと滑らせること
(筆を押し付けない、こすらない)

・網の真ん中辺りだけ絵具を乗せる
basic spattering5
上記の絵の具の量でスパッタリングした後です。

ぼかし筆で網の上をこすりました。
縦方向↑↓に筆を動かしたので、
型紙の上には縦方向に絵具が落ちています。

まんべんなく型紙に絵具を落とすためには
↑↓←→と筆を動かす方向を変えましょう。

ちなみにスパッタリング(spattering)は水を弾き飛ばす事です。
手法はこれだけではないです。

水分を弾き飛ばせば何でもスパッタリングです。
basic spattering6
上の欄で筆を”こする”と表現しました。
これで間違いないのですが、
この言葉をご自分の基準で受け取り凄い力で
網をこする人がとても多いです。

この作業の際、ぼかし筆の毛先はそれほどしなりません。
ぐいぐいしなっていたらそれは力み過ぎです。

絵具を網に乗せる、ぼかし筆で網をこする、
いずれもフワッとした優しい作業です。

右の写真は2回目のスパッタリング中。

型紙から20センチくらいは離し、慣れてきたら近づけたり
もっと離したり、絵具の飛び散り方を楽しみましょう。

撮影時のポーズの都合上
(網をベルトで固定し、右手で筆を持って左手で撮影)
筆は斜めに移っていますが、
網の面に対して垂直に筆を持って優しく(やさしく)網をこすって下さい。
basic spattering7
2回目のスパッタリング終了。

水分を含んだ型紙が浮いてきますが、
気にせず真上からスパッタリングして下さい。

また、網の上で泡立つようなことがあれば、
必ず網を綺麗に洗い流して下さい。

絵具の粒子が水分に絡まれば網目にへばりついて
下には落ちず、いつまでも残る可能性はあります。

筆を強くこする→思い通りに絵具が落ちないから
また絵具を乗せて強くこする、は悪循環です。

一度リセットして優しく道具に接して下さい。
basic spattering8
3回目のスパッタリング終了。

これでくり抜いた模様全体ほぼ均一に絵具を飛ばした感じ
basic spattering9
型紙外した状態。

スパッタリング直後に型紙を動かすことは止めて下さい。

絵具が霧状になっているので
乾きは早いですが、あまりあせると
型紙で絵の具を引きずる事になります。


これで基礎中の基礎完了。
型紙通りにハッキリスパッタリング出来たことを
確認して下さい。
basic spattering10
【基礎編2】
別の紙に同じことをしました。

スパッタリング3回。
basic spattering11
今度は型紙を少しずらします。

またスパッタリング3回。

くり抜いたところ、ハガキの余白部分は
絵具がかかると思って下さい。
basic spattering12
主に右斜めにスパッタリングしたので
絵具がかかった場所もそうなります。

絵具をかけたいとこと、かけたくないところは
常に意識意識して下さい。

また、6回スパッタリングすると
色は濃くなることが型紙の状態で分かるかと思います。
basic spattering13
【基礎編3】
くり抜いた模様も勿体ないので
スパッタリングしてみましょう。

その模様を型紙として本紙に乗せ、
3回スパッタリングした状態。
basic spattering14
型紙はそのままにパールをかけてみましょう。

銀の絵の具をまた同じように水で溶き、
3回スパッタリングしました。
右写真は銀の絵の具を水で溶いた状態。

サクラの学童用銀絵具を使いました。
とても淡い色です。

ここで注意ですが、金銀でスパッタリングするのは
キラキラ感を出すのに有効ですがメーカーで
発色が全く異なります。

同じ銀でも写真よりもっとグレーっぽいのもあります。

必ず一度発色をテストしてから作品に使って下さい。
basic spattering15
ここまでの型紙をどけて
基礎編1・2で使った型紙がまた登場です。

お花の形を良く見て
どけた型紙の形とずれないようにおきます。

赤い絵の具を溶き、これからスパッタリングします。
basic spattering16
赤い絵の具でスパッタリングした状態。

型紙を観て下さい。

6回紺色でスパッタリングされた型紙に
3回赤でスパッタリングしてます。

かなり濃厚な色の付き方になりました。

スパッタリングは回数を重ねれば
濃い色合いも表現できるという事です。
basic spattering17
型紙をどけました。

紺色部分にはパールがかかり、
淡く抑えられた上にほのかに光ります。

赤部分は紺色+パールに反発し、
浮き出て見えます。
basic spattering18
基礎編1~3と型紙を並べました。

基礎の動作から少し工夫しただけで
スパッタリング効果に幅が出ます。

後はご自分の工夫次第です!


最後に網やぼかし筆の手入れについて。

チャッチャッと水道水をかけて拭き取るだけで
終わらせる方が案外多いとみました。

必ず網、ぼかし筆双方良く絵具を洗い流して下さい。
スパッタリング時間が長いほど、目に見えないところまで
絵具が入り込んでいます。

次に利用した際、洗いきってない絵具が水分で溶けだし、
色味が濁ったり、網目に膜がはってしまったりする原因になります。
basic spattering19
簡単ですが動画を作りました。力を入れる必要がないのはお分かりいただけるかと思います。3倍速です(^_^)

Would you try spattering? スパッタリング、試してみませんか?

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