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小さいペン先

Vol.87 2014年8月
William Mitchell Round hand

お教室によって使うペン先のシリーズはスピードボールミッチェルと分かれます。
当サイトはスピードボール中心ですが、この2種類はそれぞれ特徴があります。

スピードボールCシリーズ:アメリカ製(1899~)
ペン先とインク留めが外せない作り。
ペン先は感触が少し硬い。
サイズについてはカリグラフィーパラダイスのスピードボール説明から図を抜粋しました。
サイズ名  幅(㎜) 用途 書体の練習
C-0 ウエルカム・ボードなど大きい作品に使う。 ×
C-1 3.5
C-2 練習、カードサイズの作品に適す。
C-3 カード作品、あるいは長い詩や文章向き
C-4 1.5 ×
C-5 〃 またはサイン用 ×
C-6 0.5 ×



ミッチェルWilliam Mitchell Round hand:イギリス製(1825~)
ペン先とインク留め(リザーバー)が別々(自分で組み合わせる)。
感触は弾力に富む。

サイズは手持ちのカタログにもサイトにも数字が出てないので、
カタログに印刷されていたサンプルの線を図りました。

でもスピードボールより筆圧が出やすいので、下記の数字より手の感触が大事です。
大まかな目安としてご参照ください。
サイズ名  幅(㎜) 用途 書体の練習
3.5くらい 練習、カードサイズの作品に適す。
1 1/2 2.5くらい
2 1/2 1.6~1.9 カード作品、あるいは長い詩や文章向き
1.5くらい
3 1/2 1.1~1.4 ×
×
0.6~0.9 〃 またはサイン用 ×
0.5 ×

数字は適当ですみませんが、ミッチェルは微妙なサイズの小さな文字を書く際便利であることは
一目瞭然だと思います。

使い方に特徴がありますので、下に説明します。


作品はリトル・ギャラリーも観て下さい。
手持ちのミッチェル(正式にはミッチェルのラウンドハンドと言うべきでしょうが)、
上から0,1,2,3,3 1/2,4,5,6
全種類は持ってないです(=使わないです、私は)。
リザーバーは共通なので、ペン先分持つ必要はないと思います。

リザーバーの写真上が表(ブランド名が刻印されています)、
写真下が裏っ返したところです。

はめっ放しの方も多いですが、色を良く変えるのでしたら、取り外して綺麗に洗った方が良いと思います。

金属製のペン先はメーカー問わず全て錆止め塗料が塗ってあります。
練習しましょう”でおニューのペン先について軽く触れていますが、ミッチェルもアルコールで油分を飛ばすか、
軽く火にあぶってインク乗りを良くして下さい。

ついでですが、火にあぶるのは一瞬です。その直後に冷水で冷やしても良いですが、
これは鍛冶屋さんが鉄を丈夫にする工程に近いので、ペン先が変形したり固くなる可能性があります。

William Mitchell Round hand   pen nibs



↓表です。3番をペンホルダーに挿入しています。
 ホルダーはスピードボールと兼用出来ます。
 ”3”の上下に見える出っ張りはリザーバーの留め部分です。

William Mitchell Round hand   3-1

↓裏側です
William Mitchell Round hand   3-2

↓横から見た状態です
ペン先が2mmくらい見えるようにリザーバーの位置を調整します。
リザーバーの先をペン先にもっと近づけても良いですが、書いている時に
リザーバーがずれてインクを不必要に引きずる可能性があります。

ペン先側にリザーバーの先が触れるか触れないかくらいがお勧めです。
完全にペン先側にくっついているとインクが出辛い時があり、
離れ過ぎるとインクが溜まりにくくなります。

William Mitchell Round hand   3-3

スピードボールに慣れていると、まずこのセッティングで戸惑います。
しかも手作り故、リザーバーがペン先の止めたい位置で止まらない時があります。

小さいペンチなどでリザーバーを軽く変形させたり両脇の留めの角度を変えたり
微調整してください。ペン先側は絶対に変形させないでください。

ペン先は弾力性がある分柔らかい金属なので、丁寧に扱ってください。

インクは筆につけてリザーバーの小さくて丸い2穴から、あるいはペン先との間から入れます。
インク壺にペン先を漬けても良いですが、リザーバーの位置が安定していないと
適量が入ってるか見辛くなるので、このペン先に慣れてからがお勧めです。




<ミッチェル3の作品>
ローマ小文字体(ローマンスモールレター)をxハイト4~6mmで書いた作品です。
カリグラムという1つの図形を文字で埋める方法なので、微妙に文字サイズを変えています。

ガイドラインは引きませんでしたが、大まかな服のラインは鉛筆で書いておきました。

William Mitchell Round hand   3

<ミッチェル5の作品>

Xハイト2mmちょっとのイタリック体です。
6番だと線のメリハリがさすがに出にくいので5を使いました。

同じ5番でゴシック体も書いてみました。

全体はリトル・ギャラリーへ。

William Mitchell Round hand   5