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ギルディング基礎 初級・中級・状況

Vol.91 2015年2月
補足 2018年1月

ギルディング(金箔貼り)は過去数回取り上げてきました。

もしかして1,2回やってみて嫌になった方もいるのでは。
慣れは大切だし、道具やチャレンジするレベルが合っていない可能性があります。

今回3つのレベルに分けて糊を盛るところまで説明、
そして金箔登場、という流れです!

作品はリトル・ギャラリーも観て下さい。

※色の塗りつぶし(平塗り)について補足説明追加しました(2018年1月)
※ギルディング糊の扱いについて補足説明追加しました(2018年3月)
【初級編】

字とギルディング、どっちが先かとよく聞かれますが、字です。
うまくいかなかった場合、どちらがごまかしきくかというとギルディング部分だからです。

カドミウム・レッドディープのガッシュ(不透明水彩)を使っています。
紙はタント紙やNTラシャなど、手に入り易い紙で良いので少し色のついた紙にして下さい。
ギルディング糊が見易くなります。


5mmマスの方眼紙を4つ使って鉛筆で□を作ってください。
定規と尖ったHBくらいの鉛筆を使います。

方眼紙の線からずれていないか、同じ筆圧で4辺引けているか確認です。
鉛筆に慣れていない方は下記ご残照を↓
77.鉛筆に慣れましょう
出来上がったらトレーシングペーパーを乗せて□をトレースします。


トレーシングペーパーを裏がえしてギルディングしたいところに載せます。
スタイラスやシャーペンなどで□をなぞって下さい。

シンメトリーナ図形であれば、トレーシングペーパーの裏にも鉛筆の芯をこすりつけて、、、
という手間が1つ減ります。


ギルディング用の溶剤は色々ありますが、ここではカリグラフィー・ライフ・アソシエーションで扱っている、
ギルディング糊を使用します。

均一に盛り易い事、乾いてかなり時間が経っても程良いべた付きが残っている事から初心者に
一番扱い易いと思っております。ネット購入出来ますのでぜひお使い下さい。

写真のような使い捨てできる容器に入れてください。
泡立たないようにそっと、数滴で良いです。

使い終わったらフタをしっかりしめ、密閉袋やラップに包んで下さい。数年は持ちます。
筆は細めのシュッとしたものをご用意ください。ただし、細ければいいというものではありません。
糊は毛先にたっぷりつけ、紙の上で引きずらないようにします。
ちまちま筆を動かすと、表面に筋目が出来てしまいます。


ギルディング糊を盛りました。
ぷっくりしているのがお分かりかと思います。
鉛筆の線の上にも塗っています。
1分半弱で出来ました。初めての方でも2分以内を目指して下さい。
乾燥が大敵なので手早さが必要です。


ギルディング糊を塗る、とか置く、とか言うより「盛る」という表現が一番近い事が写真でお分かりかと思います。
最初は怖いかもしれませんが、筆先で多めに糊をすくって紙に置いてください。

多過ぎるとビシャっとはみ出したりさすがに乾くのにが時間がかかりすぎたりするので量も分かってきます。
上記は小一時間でギルディングできる状態に乾きました。

【中級編】

5mmマスの方眼紙を利用してハート型を練習します。

ギルディングは技法そのものの前にしっかりした下絵とトレース作業が大切になります。
ここでハート型を取り上げたのは正円、カーブをシンメトリーに書く、という人間の目が
不得手なことにチャレンジすることで丁寧な下絵づくりの基礎としました。

また、角と丸みを合わせもつこの形は□にギルディング出来た次のステップに最適化と思いました。

1,2,3の順番が右からですみません<(_ _)>
1.正円2個と底の部分を位置決めします。
2.輪郭をそっと書いてみましょう。
3.消しゴムで余計な線を消しながら形を整えます。

で、トレーシングペーパーに写し取ってください。


くどいですけど、字から書いてくださいね。
出来上がったハートを4つトレースします。
またトレーシングペーパーを裏返してスタイラス等で写します。
紙は初心者同様、少し色のある紙で! セルリアンブルーのガッシュ(不透明水彩)で書きました。


アウトラインの上までギルディング糊をたっぷり載せます。
こちらも1分半弱で作業完了。前述の□よりは面積が広いです。
【上級編】

すいません、今度は縦長写真で。でも少し複雑な形なので良く見てもらいたくて。
中世の写本で良く出てくるアイビーの形に慣れます。
大きく書くことでバランスを掴んで欲しいです。

上段は骨格となるポイント、中段は形を整えている最中、下段で仕上げです。
改めて鉛筆が尖っているか確認してください。


先に字を書いてから、トレース。要領はここまでと一緒です。
紙は真っ白にしました。上級者用に(*^_^*)


アイビーのアウトラインをサインペンでなぞります。
耐水性の極細を必ず使って下さい。

白い紙に白いギルディング糊は見辛いです。
目の状態に合わせて拡大鏡使ったり、懐中電灯で照らしたり、糊にほんの少し色付けするなど
工夫してください。
【金箔】

左が日本風金箔、右が洋風金箔。
金箔と薄紙(間紙(あいし、あいがみと読むそうです))を重ねているのは共通ですが、
海外のは上を閉じていることがあります。

材質は純金からアルミ箔まで様々です。

極力素手で触って欲しくないので、竹ばさみをお勧めしていますが持っていないとなると
手短なところでメガネ拭き(写真は生徒さんからのお土産)が使えます。
傷が付きにくく、冬は少し静電気が起きるので特に掴み易いです。


メガネ拭きで金箔と薄紙を掴み、引っ張れば束になっている商品でも切り取り易いです。
というか怖くないです。

爪楊枝も使えます(^^)
箔を貼りたいサイズよりケチらず大きめに
切って下さい。
うまくやればほ~ら、掴めます。
爪楊枝は紙やすりで研磨すれば
トレース時のスタイラス代わりにも使えます(^^)


箔を乗せて指の腹やスタイラス、メノウ棒などで糊の部分をまんべんなく優しくこすったら、
柔らかい筆で金箔を取り除いていきます。
大きな余分な箔は挟んで剥がしてもいいのですが糊部分の上まで剥がす可能性があるので、
ビギナーはケチらず筆で優しく箔を払って下さい。

この時、力を入れる人がいますが自分のほっぺにフェイスパウダーやチークパウダーのせる方は
その優しさを転用して下さい。


箔の乗せ方ですが、テレビで蒔絵職人さんのしぐさを見て真似ました。
載せたい部分の奥に金箔を近づけ、優しく息を吹きかけます。
空気でフワッと拡がり、皺が寄らずに乗り易くなります。


番外編でガッシュ(あるいはポスターカラー)で塗りつぶす(平塗り)練習です。
ギルディング糊で使える筆が良いです。
筆3本のうち、左日本が塗りつぶし用、右端は絵の具混ぜる用。
不透明な絵具であっても時間が経つと粒子が分離したり色味がまだらになるので
まめにパレット内を良く混ぜてください。
絵の具は水っぽくならないように注意が必要です。
カリグラフィーペン用には詰まりそうだな、と感じるくらいのトロッとしたくらいでOK!

今回使った絵具はテールベルト。土系の緑色で古くから使われる色です。
油絵の下塗りなどに使われていました。



たっぷり絵具を乗せ、塗りつぶしていきます。


右のハート面より細い茎は使う筆も少し細くしました。


上級編の仕上げです。
右側はアウトラインを残してギルディング糊が終わった状態。
頭文字を飾り付けて古典的な作品の予行練習。

もうアイビーを小さく書けると思います。鉛筆でうすーくアウトラインを書きます。
いきなり書くのが怖い方は別の紙にデザインし、トレースして下さい。


写真の細い筆+テールベルトでアウトラインを書いてからアイビーの塗りつぶしです。
前回説明した90.ゴールドの絵具+平筆 ついでにハート型ポチ袋で取り上げた
ガッシュのパールゴールドです。水で溶かずに使う事でアウトラインは滲みません。

ゴールドで塗り潰してからアウトラインを書いてもOKです。

全体の仕上がりはリトル・ギャラリーをご覧ください!
【補足2 平塗りの方法2】 2018年1月
 
 当ページでまず説明した塗りつぶし(平塗り)はご自分が筆を運びやすい位置からどんどん塗り潰していく方法でした。
 この方法はギルディング糊を塗る際の参考になりますのでまずは試して頂きたいです。


  筆の扱いに慣れてきたら最初に輪郭を塗る方法もトライしてみましょう。
 輪郭から色を塗るのは時間をかけすぎると絵具の層が厚くなり、真ん中の絵具の層との段差が目立ってしまいます。
 (もんじゃ焼きみたい)

 絵の具は上記の繰り返しですが水分少な目で溶いてください。
水を筆に含ませて少しずつ絵具を溶くのが時間はかかりますが安全です。

 ただ、先にお勧めした塗りつぶしに慣れると輪郭線を先に塗る利点も体験できます。
 輪郭線がすでにあることで真ん中部分をとてもスピーディに塗り潰せます。
 ぜひお試しください。

 上の写真で使った筆はダイソーで購入したネイルアート用の筆で。
 ギルディングの糊付けやこの塗りつぶしはネイルアートの技法と近いところがあります。
 両方に興味がある方は沢山練習してくださいね(^_-)-☆


 さらに応用です。ベースを振りつぶして絵具が完全に乾いたらドットを筆で打ってみましょう。

 ご自分が持っている一番細い丸筆の先にグリーン部分と同様水分少な目の白をつけます。
 付け過ぎは良くないですが、毛の跡がパサッと出るようではドットにならないので
 怖がって殆どつけないのも良くないです。 適量は筆と友達になって慣れるしかないです。

 白をつけたらチョンっと筆で絵具を置いてみましょう。
その時のドットのサイズがその筆で最小のドットサイズです。

 絵具をつけ直して今度はチョンチョンっと絵具を置くと少し大きくなります。
 また絵具をつけてチョンチョンチョンとしてみましょう。
 サイズが少しずつ大きなれば成功!

 多少いびつでも、いじり過ぎないほうがキレイに仕上がります。
 慣れたらテントウムシも気軽に描けます(^_^)

 写真の筆はラファエルのKAERELL3/0。
 ラファエルと言えば天然毛の筆はとても高いですがこのシリーズは人工毛なので手が出せる価格です。
 
 ちょっとヴァージョンアップ。
 少ない色で彩色してみましょう。パンダの白部分を塗ります。
 絵具を乾かして様子を見て濃淡のムラが見えるようであれば上から塗り重ねます。

 絵具を筆に多めにつけることを忘れないでください。
 塗ることに夢中になって絵具の量に気を配らないと筆跡が目立ってしまいます。

 次に黒、ピンクそのとパーツの部分のみ塗り潰します。色と色の境目は極力重ならないようにしてください。
 色が濁る原因になります。

 ただ、モンシロチョウ部分はまず白を塗ってから黒で模様を入れています。
 水分が殆どない状態での絵具の扱いに慣れれば可能な方法です。

 一度うまく塗り潰せなかったからとあきらめず、何度か練習したら大丈夫。
 ただ、水で軽く濡らしても筆の毛先がまとまらない時はこの作業に向かないので使わないでくださいね!
 【補足2 ギルディング糊に色をつける】 2018年3月


ギルディング糊は最初は白色で乾くと透明になります。
白い紙の上では見辛いというときはちょこっと絵具を混ぜて色を付けます。

筆で混ぜると糊が泡立つ時があるので、心配な時は爪楊枝で混ぜてください。

2018年3月テトラバッグのためのひな人形たち。
通常、どのようなデザインでもギルディング部分から始めます。

ギルディングが終わったら同じ色の部分から一気にべた塗りです!
ギルディング、ぜひ楽しんでくださいね(^_^)