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<手順1・下書きをつくる>
まずデザインを決めて元になる下書きをつくります。
左の写真の”Thank you”の”T”を鉛筆で、あとはマーカーペン書きました。
”T”をトレーシング・ペーパーで写しとります。
頭文字のデザインを自分でゼロから考えるのはなかなか大変です。
ある程度伝統的なデザインからトライするといいかもしれないです。
この”T”が出ている本は何年も前にルーブル美術館の地下街の本屋で買いました。
見つけたときは嬉しかったですが、その後日本でも売っていることに気づきました。
"1001 ILLUMINATED INITIAL LETTERS"
BY Owen Jones
DOVER PUBLICATIONS INC., NEW YORK |
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<手順2・本番の紙に写す>
手順1のトレーシング・ペーパーの裏側を鉛筆でこすったら本番用の紙に”T”を写します。
”T”を写し終えたら残りの文字用にガイドラインを鉛筆で薄く作っておきます。
※ トレーシングペーパーが面倒な方にはグラファイト・ペーパーがお薦めです。
本番の紙の上に置き、さらに下書きデザインをのせて転写します。 |
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<手順3・文字から書く>
文字から書きましょう。
装飾部を時間かけてせっかく仕上げたのに、残りの文字で失敗したとなると悲しいので。
ギルディングは下記の方法なら大失敗はないです。
心配な時は今回のような短い言葉を使って作品にしてみて下さい。
ちなみにガッシュ(不透明水彩)やポスターカラーのような不透明な絵の具だとギルディング
部分の補正が出来るのでお薦めです。 |
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<手順4・ギルディング部分に接着剤をつける>
左の写真ではわかりにくいですが、ギルディングしたい部分に水で薄めた黄色い絵の具を
塗ってあります。
デザインが複雑になるとうっかりギルディングするのを忘れるので、この時点で見定めておき
ます。
色はどんな色でも良いのですが、あまり目立つと後々補正しきれなかった時に目立ってしまう
ので、薄目にして下さい。
次に絵の具を塗った部分にグロス・メディウムを塗ります。
コツは紙面から少し盛り上がるように、のせるように塗ります。気泡が入ると金箔がそのまま
凹んでしまうので、そっとすくいとって下さい。
乾いたら同じことを2回以上繰り返します。重ねるほど紙面との段差ができます。
※ この一連の作業には面相筆や版下用の筆など先細りした細い筆が適しています。
また、グロス・メディウムですが、本来はアクリル絵の具の伸びと定着力を増したり、つや出しの
ために利用しますが、カリグラフィーでも紙以外のもの(布や木など)に書くとき便利なので、1本
持っていていいかと思います。
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<手順5・金箔をのせる>
いよいよ金箔張りに入ります。
先にグロス・メディウムが乾いているか確認して下さい。指で押して凹むようだとまだ早いです。
金箔は裏打ち紙と交互に重なっているので、写真のように2枚一緒にギルディングしたい
部分において下さい。
金箔を少ししか使わないときは裏打ち紙と重ねて鋏で切ると楽です。
金箔は非常に軽く、くっつきやすいので、無風で静かな環境でお願いします。
金箔を置いただけでグロス・メディウムを塗った箇所が浮かび上がってきます。
それを目安に裏打ち紙の上からそっとこすります。
指や爪でついこすりたくなりますが、指先を使うと力が入りすぎるので、バーニッシャー・鉄筆・
瑪瑙棒などを使います(写真は鉄筆と瑪瑙棒)。
道具がない方は丸い割り箸とか便利です。ギルディングの縁は箸の先を、上は箸を寝か
せて使うと傷が付きにくいです。 |
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<手順5続き>
ギルディング部分が広範囲の時は自分がやりやすいように幾つかのブロックに分けます。
金箔のつなぎ目は目立たないので大丈夫です。
金箔がついたかな、と思ったら筆でそっと金箔をはらい落として下さい。
グロス・メディウムは乾いてもペタペタ感が残っていてそれで金箔がくっつくのですが、
金箔がくっつきにくいというときは息を吹きかけて湿り気を与えて再度金箔をのせて下さい。
※ 金箔をはらう筆は不要になったもので良いのですが、汚れは充分に落とし、できれば金箔
専用にしましょう。 |
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<手順6・ギルディング部分を完成させる>
ギルディングがちゃんとできたか確認して下さい。
上記の作業を繰り返しても金箔がくっついてないところがあるかもしれません。
おそらく極小さい面積だと思われるのであとは補正します。
他の色の絵の具できれいに整えるも良し、同色の金の絵の具で補正するも良し、です。
出来上がりは上の写真を参考にして下さい。
ちょっと見えにくいですがギルディング部分はちゃんと盛り上がっています。
※ 金箔と一言で言っても色んな質・色のものがあります。
手頃な値段の金箔から始めて、気に入ったら数種揃えてみて下さい。
金箔は日本画材売場等に置いてます。 |