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イタリック体で大きめ作品!

Vol.21 2003年3月

イタリック体大きめ作品完成品
イタリック体の練習を重ね、ちょっとしたカードなら
作れるようになったけど。。。
という段階で止まってしまう方へ。

頭の中で描いたイメージを作品化する段取りの
1つの見本を説明していきます。

いきなり本番に入ろうとして躓く方が多いようなので参考にして下さい。

今回は特に
・イタリック体の大文字を並べる
・半円状に文字を並べる
・グラデーションを使う
・各行をセンタリング(中央揃い)
と、一般に苦手とされがちな要素を取り入れています。

そのかわりイタリック体としては目立つアレンジを行わず、
比較的基本に忠実に書いています。

【試し書きを繰り返す!】

頭の中のイメージがそのまま作品化できるとは限りません。
サイズの大きい作品、文字数が多かったり難しい技術を
含む内容は何度となく書き直す事になります。

上記の作品の場合はラフスケッチを含み、3回試し書きを行いました。

【1回目 ラフスケッチ】
イタリック体大きめ作品ラフスケッチ
友人へのお誕生日プレゼントという設定で、
頭に浮かんだイメージを走り書きしています。

全体的には賞状のような形式したかったので、
タイトル部(特に友人の名前)を目立つように、
各行センタリング、下半分は詩を綴ることを意識しました。

【2回目 方眼紙に試し書き】
イタリック体大きめ作品試し書き1

ラフスケッチの段階で”作品になりそうかな?”と感じたら
紙サイズ・各文字のサイズ等を探るため、実際に書いてみます。
今回5ミリ四方の方眼紙を使っています。
物差しで細かく計る手間を少しでも省くには大変便利です。

まず理想の紙のサイズ、縦・横の中心線を決めます。
その中で大まかな各行の位置を決め、文字を書いていきます。
まだ物になるか確定できない段階なので、
黒インク一色で充分です。思いついたペン幅で書いてみましょう。

※ 試し書きはラフすぎるとサイズや文字間も異なってくるので
正確なセンタリングが出来なくなります。要注意!



上記では全体的な見直しが必要な事が一目瞭然です。
紙のサイズをもっと大きくしても良いですが、
今回は手持ちのマット紙(内経 324×248ミリ)を使いたかったので
限られたスペースで見直しをしています。

気がついた事は余白にどんどん書き込みましょう。

もう一度インク一色で書き直した方が良い場合があります。
  ・大幅なペン幅の変更が随所に及んだ場合
  ・書きたい文章がどうしても納まらない、
あるいは余白ができすぎた場合

ラフスケッチに戻ったほうがいい時もあります。。。
根気よく納得いく形にしてください。

【3回目 方眼紙に色を使って試し書き】
イタリック体大きめ作品試し書き2

第2段階で得た感触としてもっと慎重に位置決めを行えば
自分が書きたい文章はきれいに納まると予想し、
青やグリーンを中心とした色使い、一部グラデーションと
色使いも見えてきたのでこの段階で試しています。

センタリングは第2段階で1行の長さが検討がついたので、
中心線を元に位置決めします。

半円の”CONGRATULATIONS”の位置は
第2段階で予測した修正により正しく決められました。

今回、ペン幅の変更が少なかったので、
第3段階でほぼ各行の位置決めが出来ました。
それでも幾つか修正個所が出てきたので書き込みをしています。

ここで本番にいけそうかな、という感触があれば進んで下さい。
不安事項があれば、部分的でもよいので再度書いてみて解決しておきます。


【本番 注意事項】

いよいよ本番の紙に書きます。
書くこと自体はだいぶ落ち着いて取り組めるはずです。
後は発色や紙の癖に用心します。

特に使い慣れていない紙に書く場合は、その紙を使っての試し書きが必要です。
思う方向にペンが動かなかったり滲んだりとよくある事です。


試し書きは本来、このように人に見せるものではありません。
躊躇せず、色々試してみて下さい。

オリジナルな作品を作りたいのに、
他人の作品の真似しかできないと悩んでいる方は試し書きを嫌う方が多いようです。

某有名カリグラファーの膨大な試し書きを見てショックを受けたことがあります。
どんなベテランの人も(ベテランな人ほど)
時間をかけ作品をつくっていきます。

といってもこの試し書きの時間がなかなか作れないんですけどね!

好きな作品を模写することは勉強にはとても大切です。

ただ自分の作品としてネット上や作品展などで発表することは
今著作権の関係で人の目が厳しくなっています。

やはり試し書きが大切としてオリジナル作品を量産してください!

【イラストの描き方】
ちょうちょと百合の花を描いています。
文字部分を全部書き終え、余白を確認してからにしてください。
平筆 ちょうちょ 【ちょうちょの描き方】

平筆を使います。

1.ちょうちょの羽根の中心を決めたら、
中心に平筆の角をあて、外に向かって動かします。
筆を紙からゆっくり力を抜いて離すと、
羽根のひらひらができます。

2.反対側の羽根を描きます。
方向が変わると筆が使いづらいので
紙の向きを描きやすい方向へ変えます。

3.羽根を重ねて描きます。
1.2それぞれの大きい羽根にさらに重ねます。
中心をはずさないことがポイントです。
この作業で、羽根の薄い儚い感じがでます。

4.触覚を描きます。
中心から外に向かって描きます。
今回は面相筆を使いました。

平筆 カリグラフィーペン百合1
平筆 カリグラフィーペン百合2

【百合の描き方】

1.茎から描きます。
茎本体と花の茎2本がずれるとおかしいので、
必ず中心から各方向に向かって描きます。
C−2のペン先を使いました。


2.花の中心を描きます。
ちょうちょと同じ平筆を使っています。
百合の花の付け根はしっかりしていて、
かつ蕾は先が少し丸いので、
茎側に平筆の角をあてます。
紙にそっと筆を押しつけてから離すと丸みがでます。


3.葉を描きます。
百合の葉は長く先が鋭角なので、
平筆のシャープさを活かして葉の先jから茎に向かって描きます。
花に近い位置ほど葉のサイズを小さくすると、リアル感がでます。


【花の描き方】

1.百合の花びらを描きます。
6枚の花びらのうち3枚を描きます。
百合の花びらは先がカールしているので、
平筆でしっかりカーブをつけます。


2.さらに3枚花びらを追加します。
花びらが重なっている感じが出せます。


3.雌しべ・雄しべを描きます。
 雌しべを長めに1本、雄しべを短めに6本、
 中心から外に向かって描きます。
 C−5のペン先を使いました。
 さ雌しべの先に丸っこい点を、
 雄しべの先に横長の点を付け加えます。
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