
カリグラフィーとエンボス加工は相性が良く、
地味ではありますが、品格も表現しやすくなります。
コツと段取りさえ掴めれば楽しめる作業です。
リトル・ギャラリーも観て下さい!
|
まずエンボスしたい文字を書きます。
平均的な厚みのあるしっかりしたケント紙が台紙としてお薦めです。
私はKMK ケント 200を使っています。
厚みがある台紙ほど深いエンボスは作れますが、そうなると、下記のカッターで切るのが大変、
エンボスする紙が薄いと破けやすいという弊害が出ます。
かと言って台紙が薄いと当然エンボスには不向きになります。
同じケント紙でも110は薄いかな、と思っています。
この台紙とする紙に限らず下記の作業は、まず1,2度は経験してみなければピンとこない作業です。
一発目は失敗覚悟でやってみて下さい。
ということは大切な作品にエンボスする場合は予行練習が必要です。
幸い、台紙は一度作れば何度も再利用出来ます。その辺りを心してお試し下さい。
切り抜く作業はカーブが多いほど大変です。細かくても大変。
そういう意味ではローマンキャピタルがお薦め、カッパープレートなどは難しいです。
|
 |
台紙をカッターでくり抜きます。
細かい作業には紙細工などで使う刃の細いカッターが向いているとされますが、まずはお手持ちのご自分が
使いやすいと感じるカッターをお使い下さい。
勿論、刃先はちゃんと良く切れる状態のものです。
私は刃の広いダンボール紙などを切る大きなカッターで手に合うものがあるので、それ下の状態に切り抜きました。
たまたまインクで書いた文字部分をバラバラにせずに切れましたが、勿論エンボスするための穴の部分を綺麗に
切ることが肝心なので、インク部分はバラバラでもいいですよ。
2文字以上を組み合わせてデザインする際は文字によりやりたくても出来ないデザインなど出てきます。
まずはシンプルに組ませてみることです。
”B”、”P”など本来切り落とさずに残したい内側まで穴が開いてしまう文字は、完全に切り離さないように
線が細くなる部分を利用してうまく残す必要がありますので要注意。
切り離してしまったらですね、セロハンテープを細くして繋げるなどごまかす方法はあります。
|
 |
”TM”部分をエンボスしてみます。
エンボスしたい紙を手前に膨らませたいので、下記のような置き方になります。
1.台紙を裏返す。
2.エンボスしたい紙を裏返し、台紙に載せる。
3.マスキング・テープなどでずれないように仮止めする。
ココ、間違えやすいので気をつけて下さいねー。
|
 |
エンボスしたい紙ですが、台紙のくり抜いた部分が透けて見えるのが一番やりやすい紙です。
トレーシングペーパーや厚みも色も薄い紙が該当します。
が、それでは使える紙がかなり限定されます。
お手持ちの大きめの懐中電灯などを当てて、透けて見えればエンボス出来ます。
また、ご自分の手で書いた文字をエンボスするので不思議と手探りでも検討がついたりします。
心配な方は薄手の紙からトライするのが安心ですが、ご自分がやってみたい紙で試してみるのも大事です。
古典的な方法は晴れた日にガラス窓に張り付いて下記の作業を行う事。
ライティングBOXも良く使われますが、滅多にしないエンボスの為に買うのは勿体無いですよね。
懐中電灯や窓を利用してみることをお薦めします。
|
 |
いよいよエンボスです。
写真右上に移っている変な金属がついている棒。トランサー、スタイラス、尖筆など呼び名は幾つかあります。
用は紙をこするための道具です。漫画の道具を売っているところなどで目に留まりやすいかと思います。
エンボス作業は勿論、金箔に直接触れなければギルディングにも使えます。
今後チョクチョク使いそうだな、とお思いの方は1,2種類購入して下さい。
しかし、今買うのは躊躇われる方、これらの道具が近くに売っていない方は身近な道具を使ってみましょう。
しっかりと、かつ滑らかに紙を膨らませられれば良いのです。
右下3種類で今回はエンボスしてみました。
アイスのスプーン→滑らかに膨らみを整える
丸割り箸 →台紙に沿ってシッカリ膨らませる
シャーペン →芯を出さない状態で縁をなぞる
この3種類を持ち替えながら少しずつ膨らませます。
よほどデリケートな紙でない限りは案外綺麗に出来ます。
特に丸割り箸などは紙やすりを使って自分用にカスタマイズすればより便利です。
|
 |
エンボス結果です。
はっきり”TM”と読めますよね?
エンボスの欠点として間近で見ればこの立体感は味わえますが、離れてみるとわかりません。
それ故額装作品に取り入れる時には工夫と度胸が必要ですが、カード作品なら上記の作業で十分です。
|
 |
今回はエンボスした紙を飾りに、名刺入れにしています。
右の写真は折り畳む前の状態。少しでもたくさん入るように
マチをつくっています。
ゴムひもで全体を留めるようにしたかったのですが、ただ
穴を開けるだけではちゃっちくみえるので、ハトメを
はめ込みました。
100円ショップで210円で購入。 |
 |
仕上げの状態を広げています。
ゴムひもは和菓子を包んでいたものでした。
父の日のミニプレゼントを想定しましたが、
さすがにこれで直接名刺交換されちゃ困るので、
頂いた古い名刺を保存しておくケースとして
考えてみました。
名刺の種類別に数種つくるのもいいかと思います。
紙の色を変えたりして。私は面倒なんでしませんが。 |
 |
ゴムひもを嵌めた状態。
丁度”T”が隠れちゃいますが。 |
 |
もう一種類、トレーシングペーパー系をエンボスした場合。
手書きの文字とエンボス文字を組み合わせる場合ですが、
必ず文字を先に書いてしまいます。
それからエンボスの位置を考えますが、透けて見えるので
あわせやすいですね。
右の状態で、紙を置く位置に鉛筆で印をつけます。
実際には右の状態からこの後、
紙の上下を逆にし、かつ裏返すので
その前にキチンと位置確認することが失敗しないコツです。 |
 |
エンボス出来上がり状態。裏側から紙に傷をつけている
訳ですから、半透明の紙では白く浮き上がります。
デザイン上、姓・名の順にしました。
姓を頭に持ってくる動きもありますし、この辺りは順序は
意識せず、デザイン重視が大事だと思います。
|
 |