スパッタリングは過去何度も取り上げてきているので、
もうそんな説明しなくていいかなー(過去のページを観てもらえれば)、と思ってました。
ですがお教室で生身の人間に教えていると苦手、面倒と思っている生徒さんが多く、
この度(2014年1,2月)基本の道具、絵の具の溶き方からゆっくり丁寧に教室で教えてみたところ
改めて「こりゃあかんわ」(<(_ _)>)と実感し、サイト上も説明し直すことにしました。
カリグラフィー部分を含めたり、変わり種道具など趣味に走らず、純粋に基本の道具で
スパッタリングの説明です!
これで出来なかったらもう知りません(^^ゞ
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【基礎編1】
右写真の内容です。
左端上 : 古い官製はがき(型紙用)
左端下 : 作品用ハガキ
左から2番目 : ぼかし用網
左から3番目 : ぼかし筆
左から4番目 : 水彩用丸筆
左から5番目上 : 水
左から5番目中 : 絵具用溶き皿
左から5番目下 : 〃 (絵具出してます)
右端 : 透明水彩絵の具(こんいろ) |
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スパッタリングしたい模様をカッターでくり抜きます。
官製はがきに鉛筆で模様を書き、
ご自分が使いやすいカッターナイフで
慌てずゆっくりくり抜きましょう。
この程度の紙のサイズでしたら、
紙を切り易い方向に回しながら切ると、
切り口がキレイです。
この手の型紙はケント紙を良く使いますが、
適度の厚みが必要です。
良く分からない方は
この官製はがきを型紙に使う事をお勧めします。
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絵具の溶き方、ビギナー対応です!
溶き皿に絵具を入れたら水を足して濃度を調整します。
その際、水差しや水道蛇口から直接足したくなるものですが
絶対絶対止めて下さい。
もう1個、溶き皿など容器を準備し(右写真真ん中)、
ここに水を入れておきます。
細すぎない程度の水彩筆で良いので、
ここからたっぷり水を含ませ絵具を混ぜます。
濃かったらまた同じ作業を行います。
右の写真はカリグラフィーペンで字を書くなら
これくらいかなー、という感じの濃さです。
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上の状態でもスパッタリングは出来ますが
作業を確実にするためさらにもう少し水を加え、
ちょっと水っぽい状態まで絵具を溶きます。
右の写真を観て下さい。
手前の絵の具は水っぽくなり、
真ん中の水だけを入れていた溶き皿は水分が減り、
絵具の色に染まっています。
面倒な作業ですが
絵具は濃すぎても薄過ぎてもスパッタリングし辛いので
大事な工程です。
インクは元から水っぽい製品でしたら
(ペンだと滲み易い、字の色が薄いなど)そのままお使い下さい。
スパッタリングは絵の具を沢山使うので
ご自分の予想より多めに溶いておくことをお勧めします。 |
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ぼかし用網(以下「網」)に絵具を乗せます。
以下の点気をつけて下さい。
・先に作品の上に型紙を乗せておく
(写真左:型紙と作品は同サイズ)
・作品から離れたところで絵の具を網に乗せる
(何度注意しても作品の上でやってくれます)
・絵の具を網に乗せる際、筆は細すぎない事
・筆に絵具をたっぷり含ませ、
網の上では筆先全体をフワッと滑らせること
(筆を押し付けない、こすらない)
・網の真ん中辺りだけ絵具を乗せる
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上記の絵の具の量でスパッタリングした後です。
ぼかし筆で網の上をこすりました。
縦方向↑↓に筆を動かしたので、
型紙の上には縦方向に絵具が落ちています。
まんべんなく型紙に絵具を落とすためには
↑↓←→と筆を動かす方向を変えましょう。
ちなみにスパッタリング(spattering)は水を弾き飛ばす事です。
手法はこれだけではないです。
水分を弾き飛ばせば何でもスパッタリングです。
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上の欄で筆を”こする”と表現しました。
これで間違いないのですが、
この言葉をご自分の基準で受け取り凄い力で
網をこする人がとても多いです。
この作業の際、ぼかし筆の毛先はそれほどしなりません。
ぐいぐいしなっていたらそれは力み過ぎです。
絵具を網に乗せる、ぼかし筆で網をこする、
いずれもフワッとした優しい作業です。
右の写真は2回目のスパッタリング中。
型紙から20センチくらいは離し、慣れてきたら近づけたり
もっと離したり、絵具の飛び散り方を楽しみましょう。
撮影時のポーズの都合上
(網をベルトで固定し、右手で筆を持って左手で撮影)
筆は斜めに移っていますが、
網の面に対して垂直に筆を持って優しく(やさしく)網をこすって下さい。 |
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2回目のスパッタリング終了。
水分を含んだ型紙が浮いてきますが、
気にせず真上からスパッタリングして下さい。
また、網の上で泡立つようなことがあれば、
必ず網を綺麗に洗い流して下さい。
絵具の粒子が水分に絡まれば網目にへばりついて
下には落ちず、いつまでも残る可能性はあります。
筆を強くこする→思い通りに絵具が落ちないから
また絵具を乗せて強くこする、は悪循環です。
一度リセットして優しく道具に接して下さい。 |
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3回目のスパッタリング終了。
これでくり抜いた模様全体ほぼ均一に絵具を飛ばした感じ |
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型紙外した状態。
スパッタリング直後に型紙を動かすことは止めて下さい。
絵具が霧状になっているので
乾きは早いですが、あまりあせると
型紙で絵の具を引きずる事になります。
これで基礎中の基礎完了。
型紙通りにハッキリスパッタリング出来たことを
確認して下さい。 |
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【基礎編2】
別の紙に同じことをしました。
スパッタリング3回。 |
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今度は型紙を少しずらします。
またスパッタリング3回。
くり抜いたところ、ハガキの余白部分は
絵具がかかると思って下さい。 |
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主に右斜めにスパッタリングしたので
絵具がかかった場所もそうなります。
絵具をかけたいとこと、かけたくないところは
常に意識意識して下さい。
また、6回スパッタリングすると
色は濃くなることが型紙の状態で分かるかと思います。 |
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【基礎編3】
くり抜いた模様も勿体ないので
スパッタリングしてみましょう。
その模様を型紙として本紙に乗せ、
3回スパッタリングした状態。
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型紙はそのままにパールをかけてみましょう。
銀の絵の具をまた同じように水で溶き、
3回スパッタリングしました。
右写真は銀の絵の具を水で溶いた状態。
サクラの学童用銀絵具を使いました。
とても淡い色です。
ここで注意ですが、金銀でスパッタリングするのは
キラキラ感を出すのに有効ですがメーカーで
発色が全く異なります。
同じ銀でも写真よりもっとグレーっぽいのもあります。
必ず一度発色をテストしてから作品に使って下さい。 |
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ここまでの型紙をどけて
基礎編1・2で使った型紙がまた登場です。
お花の形を良く見て
どけた型紙の形とずれないようにおきます。
赤い絵の具を溶き、これからスパッタリングします。 |
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赤い絵の具でスパッタリングした状態。
型紙を観て下さい。
6回紺色でスパッタリングされた型紙に
3回赤でスパッタリングしてます。
かなり濃厚な色の付き方になりました。
スパッタリングは回数を重ねれば
濃い色合いも表現できるという事です。 |
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型紙をどけました。
紺色部分にはパールがかかり、
淡く抑えられた上にほのかに光ります。
赤部分は紺色+パールに反発し、
浮き出て見えます。 |
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基礎編1~3と型紙を並べました。
基礎の動作から少し工夫しただけで
スパッタリング効果に幅が出ます。
後はご自分の工夫次第です!
最後に網やぼかし筆の手入れについて。
チャッチャッと水道水をかけて拭き取るだけで
終わらせる方が案外多いとみました。
必ず網、ぼかし筆双方良く絵具を洗い流して下さい。
スパッタリング時間が長いほど、目に見えないところまで
絵具が入り込んでいます。
次に利用した際、洗いきってない絵具が水分で溶けだし、
色味が濁ったり、網目に膜がはってしまったりする原因になります。
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