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ローマ大文字体 説明
ローマ大文字体(Roman Capitals)の説明です。

ブックハンド小文字体の大文字にあたりますが、古い書体のため小文字と大文字で呼び名が違います。
ローマ大文字体は古代ローマ時代に主に石に文字を掘るために作られ、のちに紙の使用頻度が高まり、
あわせてブックハンド小文字体が出現した、という別個の使い方をされていたせいもあるかと思います。

ローマ大文字体を使用した同時代の遺物ではトラヤヌス帝の戦勝記念碑(紀元113年)が知られています。
映画”グラディエーター”に出てきた剣闘興行師が奴隷から市民になった証明の木刀に大文字体が掘られていたような。。。

大文字体は長い歴史があるのでスタイルは数種ありますが、今回は一番シンプルなものを載せます。
基本的には直線と円形に近いカーブしか使いません。
イタリック体のように始点・終点で細いラインを出したり、ゴシック体のように菱形をくっつける形は出てきません。
動きに無駄がない分ちょいと難しいかな、とは思っています。

ガイドラインの作り方も今までとは全く異なりますので、下記に説明します。



このページは
ガイドラインの説明及び"MOTHER'SDAY"
次ページ
フォーム1に属するアルファベット
(O,C,D,G,Q,A,H,N,U,V,X,Y)
3ページ
フォーム2に属するアルファベット(B,E,F,K,L,P,R)
フォーム3に属するアルファベット(S,J,I)
その他(M,W)


基本のペン先の角度は30度(アンシャル体・ハーフアンシャル体と同じ)ですが、
45度や60度に持ち替えところも随所出てきます。

このページは"MOTHER'S DAY"を先に練習しますが、
ローマ大文字体の特徴をつかむ為のアルファベットがバランス
よくスペルになっています。


ガイドラインの作り方
過去説明した書体のガイドシートと最も異なる点はXハイト等のガイドラインの決め方をしないことです。

基本はフォーム1の正方形です。大方のアルファベットがこの正方形を基準にします。
文字の高さは3つとも必ずペン先7個分です。
フォーム2・3は幅がフォーム1の半分になります。

各アルファベットがフォームにきっちり納まるわけではないので、方眼紙を使うと図りやすいです。
ペン先の幅にあった方眼紙があれば一番良いですが、多少誤差があっても白い紙に線を引くよりは
後が楽です。フォームの中心線も重要になってくるからです。

フォーム1に該当する文字を練習する際は正方形ギリギリに納まった正円があるとより一層練習が楽ですが、
ガイドラインを作る際に面倒だったら省略して下さい。
ペン先の角度は基本的に30度です。

ただ、随所に45度、または60度でペンを持つところが出てきます。
今まで説明してきた書体を練習した方はコントロール出来る角度ですが、初心者
でこの書体に取り組まれる方は注意して下さい。

特に無理して手首で角度を変えようとすると大変疲れます。面倒でも角度が変わ
る度にペンを持ち直して下さい。

※ 角度の説明がないアルファベットは30度と思って下さい。


"Mother's day"練習
”o”です。
ローマ大文字体の基本といってよいです。
正方形内にめいっぱいまん丸く書きます。ペン先30度を保持します。

書き順1 左側の半円を描きます。
書き順2 右側の半円を描きます。

※ 内側は左に傾いた楕円になるよう書くとよいです。
”M”です。
これはちょっとくせ者です。ポイントがいくつかあります。ペン先の角度の変化に気をつけて下さい。
フォーム1を使います。
書き順1 正方形よりペン先1つ分内側を始点とし、ペン先を60度にします。
      そのまま正方形ペン先1つ分外側を目指し、直線を引きます。
書き順2 ペン先を45度に持ち替え、書き順1の始点に重ね、正方形幅半分に向かって直線を降ろします。
書き順3 ペン先を30度に持ち替え、正方形ペン先1つ分内側を始点とし、書き順2の終点に向かって直線を
      降ろします。
書き順4 30度のまま、書き順3の始点からペン先1つ分外側に向かって直線を降ろします。

※ ”M”の上はペン先5つ分の幅、下はペン先9つ分の幅を目安とします。
  出来上がりがほぼ同じ形の三角形を3つ組み合わせたものになるようにします。
  3つの三角形の形が極端に違うと”M”のバランスが崩れている証拠です。
  ”M”の中心の角は45度で降りてきた線と30度で降りてきた線を重ねるので、きれいに尖った角を作るのは
  大変難しいですが、何度も練習するときれいにかさなるポイントがわかってきます。
  多少のずれであれば、書き終わってからペンで補正します。
”T”です。
フォーム1を使います。

書き順1 正方形よりペン先1つ分内側を始点・終点とし、直線を引きます。
書き順2 正方形の幅中央に垂直線を降ろします。
”H”です。
フォーム1を使います。

書き順1 正方形の幅ペン先1つ分内側を始点とし、垂直線を降ろします(左側)。
書き順2 正方形の幅ペン先1つ分内側を始点とし、垂直線を降ろします(右側)。
書き順3 正方形の高さ中央より少し上に水平線を引きます。

”E”です。
フォーム2を使います。

書き順1 垂直線を降ろします。
書き順2 上ガイドラインに沿って右ガイドラインまで水平線を引きます。
書き順3 文字の高さ中央から少し上で右ガイドラインまで水平線を引きます。
書き順4 下ガイドラインに沿って水平線を引きます。

フォーム2の形にぴったり合わせて書くので、上2つの水平線は下の水平線より少し短くなります。
”R”です。
フォーム2を使います。

書き順1 垂直線を降ろします。

書き順2 書き順1の始点に重ねて上ガイドラインに沿って水平線を少し引いてから、文字の高さ中央
      に向かって丸く小さくカーブし、垂直線に向かって短い水平線を引きます。
書き順3 書き順2の水平線に重ね、直線を斜めに降ろします。

※ フォーム2の右側は標準より少し広くなっています。書き順2のカーブが一番膨らむポイントがペン先3つ半の幅になるようにして下さい。
”S”です。
フォーム3を使います。

書き順1 文字の高さ中央を意識して図のように2つのカーブを描きます。

書き順2 ガイドラインの幅に合わせ、書き順1の終点に向かってカーブを描きます。

書き順3 書き順1の始点に合わせ、右ガイドラインに向かって短くカーブします。
”D”です。
フォーム1を使います。

書き順1 正方形幅ペン先1つ分内側に垂直線を降ろします。。

書き順2 上ガイドラインに沿って水平線を引いてから、下に向かってまるくカーブします。

書き順3 書き順1の終点に合わせ、下ガイドラインに沿って水平線を引きます。
”A”です。
フォーム1を使います。

書き順1 正方形幅中央から幅ペン先1つ分内側に向かってペン先30度で直線を降ろします。

書き順2 ペン先45度に持ち替え、書き順1の始点に重ね、幅ペン先1つ分内側に向かって直線を降ろします。

書き順3 ペン先を30度に戻し、正方形の高さ中央より少し下に水平線を引きます。
”Y”です。
フォーム1を使います。

書き順1 ペン先45度で正方形幅ペン先1つ分内側から幅中央に向かって直線を降ろし、そのまま垂直線を降ろします。

書き順2 ペン先30度に持ち替え、幅ペン先1つ分内側から中央に向かって直線を降ろします。