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カリグラフィー・テクニック

2002年クリスマス スパッタリングしましょう!   
  





カリグラフィー作品にぼんやりした模様を入れたい、
そんな時に役立つ技法がスパッタリング(spattering)です。
”spatter”は水などをまく、はねかける、という意味ですが、
まさに紙に対して絵の具類をはねかける技法です。

今回スパッタリング用の網が新登場ですが、
過去のカリグラフィー・テクニックでご紹介した道具も出てきます。



基本動作
ツリーに雪が積もっているイメージでつくってみます。

上から
1.厚手の紙でできた型紙
 ※薄い紙では、水分を含むと変形してきます。
2.スパッタリング対象の紙(先に文字を書いておきます)
3.スパッタリング用ブラシ
4.歯ブラシ(3.の代用品)
5.スパッタリング用網

3.と5.は版画用品やステンシルを扱っているお店には
よく置いています。
1.この作業は予想外に絵の具が飛び散るので、
広範囲にチラシを広げるなど気をつけて準備して下さい。

2.型紙を、隠したい位置に乗せます。

3.網の上にインクまたは薄目に水で溶いた絵の具を
  塗り、ブラシで網を擦ります。

  ※出来上がりの見た目より多く紙にかけるで、自分で混色
  した場合などは特に多めに準備して下さい。

網がない場合は歯ブラシ同士を擦り合わせたり、
目の細かい灰汁取りお玉などを代用します。
ただし、きめの細かい飛び散り方を望む場合は専用網の
使用をお薦めします。
絵の具が完全に乾いたら型紙をはずします。
仕上げの加工を施します。

ツリー状に仕上げたかったので、細い木の棒に針金を巻き付け、
針金に紙を張り合わせます。

テープでも付きますが、しっかり固定したい場合は、接着剤をお
薦めします。

最後に作りたい形に丸めます。
紙はマーメイドなので、少し力を入れたくらいではへこたれません。
安易に丸めたい場合はもう少し薄い紙がいいかも。
そのかわり不必要な折り目がつきやすいです。

型紙 2例
スパッタリングはどこを隠したいか明確に
しなくてはいけません。
左の流れ星は、表の周囲にのみブルーの絵の具をかけたかった
ので、写真のようになりました。

右上は流れ星の裏を覆うため、右下は表の中心を覆うためです。
文字を先に書き、ハートの形も決めておきます。

”LOVE”の中央を隠したかったので、小さいハート型を、
裏側を覆うため、同型の型紙を作りました。


応用編 トレーシングペーパーを使う
文字を書いてから模様の位置を決めたい時があります。

そういう時はトレーシングペーパーを型紙に使用します。
一般的な薄手のタイプはやはり水分を含むと変形するので、
製図コーナーなどで売っている厚手のタイプをお薦めします。

ちなみに85g/m2を使いました。

左の写真はトレーシングペーパーをマスキングテープで
固定し、柊を描いたところ。
トレーシングペーパーをはずし、スパッタリングしたい箇所を
カッターでくり抜いたところです。

実の部分から始めます。
この型紙を元の位置に戻し、スパッタリングです。
絵の具が乾くまでそのままです。
今度は葉の部分をくり抜きます。

そしてスパッタリングが終わった実の部分を覆います。
今回はマスキングテープを使用していますが、マスキングフィルムや
紙など状況に適したもので隠して下さい。

準備が出来たらスパッタリングです。
取りかかるまではちょっと面倒ですが、始めちゃえば楽しい作業です。

一番大切なのは作品の大きさよりかなり広めの作業場を確保することかも。
ギャラリーに、上の写真よりもう少し分かり易い写真を載せています!