ちょうど10年前、16.万年カレンダーをつくるページを作成しました。
この時も季節は夏。
個人的な意見ですが、カレンダーはどういう手法であれ、時間は必要なので
夏休みのひとときに取り組むのにピッタリ。
それと、個々人がその年に学んできたことを振り返る為にも適していると思っています。
カレンダー作成は文字・数字・デザインに向き会える素晴らしいテーマです。
と言ってもやはり12か月分は大変なので、このパートⅡでは
もっとも単純と思われる、万年カレンダーをご説明します。
かつ今年はアクリル絵具の使い方に取り組んだということで、
復習がてら使っています。
完成品はリトル・ギャラリーをご覧下さい!
|
 |
実際の作業を楽にするためには下準備が肝心です。
今回は、教室の生徒さん方用にイラストレータで型紙を作りました。
A4用紙一枚でカレンダーを作れることを想定しています。
カレンダー本体は21×16.5センチです(写真左上)。
本体部分に模様を入れたかったので、ケント紙で模様の型紙も
用意しました(写真右上)。
|
 |
まず、カレンダー本体に模様を入れます。
型紙を乗せ、アクリル絵具のゴールドを水で薄く溶き、
細い筆で軽くポンポンと絵の具を置いていきます。
ドロッとした状態だと、アクリルはそのまま固まります。
そうなると上に字を書きにくくなるので、
このような背景としての模様は薄付けがお勧めです。 |
 |
模様が乾くのを待つ間、型紙のグレー部分を全部くり抜いておきます。
|
 |
いよいよ数字を書いていきます(ガッシュを使いました)。
先に本体を型紙の表に乗せ、一週間単位の横線を
ガイドラインとしてを引いておきます。
ガイドラインが引き易いように、本体サイズからわざと線をはみ出した
型紙を作っているのでここでは測る必要はありません。
この横線を目安に刳りぬいた一週間分の型紙を乗せます。
後はくり抜いたスペースに数字を書いていけば良いのですが、
各升目の縦・横中心線は必ず意識して下さい。
中心を気にせずただ書いていくと、”31”まで書いた時に、
全体のバランスが悪くなります。”1”は左上から書いて下さい。 |
 |
言うまでもないですが、上の作業は乾かしながらでないと、
型紙で絵の具を引きずってしまいます。
一週間単位で書いたら乾かす、
その間別のパーツを作っていきましょう。
今回、曜日は色鉛筆のみで書きました。
型紙を乗せ、フリーハンドで枠を引き、3文字に略した曜日を
書きました。
読み易さよりも曜日の一部が枠線に溶け込んだような
デザイン性を重視しました。 |
 |
月名はガッシュ&コピックマーカーで書きました。
型紙を乗せ、12か月分、鉛筆で薄く月名用枠線をなぞっておきます。
枠からはみ出すくらいにガッシュを筆でざっと塗り、
乾かない内にコピックマーカーで月名を書きます。
コピックマーカーのインクは揮発性なので、ガッシュの水分を
弾いて独特の風合いが出ます。
月名は枠から字がはみ出しているようなデザインにしました。 |
 |
数字、曜日、月名全て書き終わったら、
カレンダーに仕上げる前に、カラーコピーします。
コンビニのコピー機でOK。
カレンダー本体である、数字部分は12枚、
曜日名・月名はそれぞれ1枚必要です。
|
 |
100円ショップには良く置いてある、木製のクリップを使います。
各曜日を枠線に沿ってハサミで切り、木工用ボンドでクリップに貼ります。
曜日7個分とは別に飾りの付いたクリップも必要です。
ビーズを刺繍したフェルトを、木工用ボンドで貼っています。
どのクリップも薄い水色が着色されていますが、
アクリル絵具を平筆でサッと塗っているだけです。
|
 |
上記のクリップ達で挟む飾りをフェルトで作ります。
型紙をフェルトの上に乗せ、ハサミでチョキチョキ切りました。
これを2枚用意します。 |
 |
仕上げです。
本体部分の上部にフェルトを裏表貼ります。
これにその月に合わせた順で曜日クリップを留めていきます。
その時ついでにミニハンガーも一緒に挟みます。
吉祥寺パルコ内「K×K by Kitchen Kitchen」で¥105で購入。
でも、太い針金や紐、木の枝などをクリップに通しても
面白いと思います。
”31”の右隣り余白にもフェルトを貼り、ビーズクリップを留めます。
ずばり日付隠し用です。
8月は31日まであるので、針金で作ったメモホルダーを3つに通しています。
ホルダーには月名を挟みます。
数字のサンプルにもしたかったので、
1桁はスピードボールC-3、2桁はC-4。
書体は上からイタリック体、ゴシック体、ローマ小文字体、フラクチャー体、
ラスティック体と書きわけました。
デザイン上は同じペン先で、1書体だけ使った方がまとまります。 |
レッスンで使った数字の資料です↓
数字資料PDF
PDFはザッとした内容でスミマセン<(_ _)>
この資料をつくるために少し数字の歴史について調べました。
今一、数字の書き方については資料が乏しいというか、あやふやなのは
ヨーロッパの宗教・哲学の歴史が関連するようです。
古代インドからアラビア半島を経て貿易で伝わって来た”0”の概念はキリスト教にとっては異端だったようです。
と言っても”0”さえ使えればビジネスも科学も飛躍的に進む、と勝手にどんどん広がり、
15世紀には遠近法など美術の面でも使われ出しました。
ということで、キリスト教とカリグラフィーの歴史は切っても切れないゆえ、
(文字そのものも、書く行為も神聖だったわけだし)
異国の字などは気合入らなかったのかなという印象です。
この背景が漠然とでも分かっていれば書体によって数字の書き方を習ったり、
習わなかったり、適当だったり、というのも納得できるというもんです。
【参考文献】
「異端の数 ゼロ」 著:チャールズ・サイフェ 訳:林 大 ハヤカワ文庫
「数の歴史」 著:ドゥニ・ゲージ 監修:藤原正彦 創元社
「The Calligrapher's Bible」 David Harris Page one Publishing Pte Ltd
|
 |
カレンダーを仕上げえる前にカラーコピーを取りました。
これはお手製ダイアリーを作成するためです。
各パーツをハサミで切り、糊やマスキングテープで気軽に
貼ってしまいましょう。
このダイアリーとカレンダーの写真詳細は 最終的な仕上げはリトル・ギャラリーをご覧下さい!
※西暦は今回、どこにも書いていません。
年も書きたい方はこのページヒントにどこかに入れて下さい<(_ _)>
|