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なんちゃってインクアート

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Vol.122 2021年8月
カリグラフィー なんちゃってインクアート
インクアート、じわじわとネット上で見かけるようになりました。
いかにもカリグラフィーと組み合わせられそう。

ただ少し調べたところ、無水アルコールを使ったりユポ紙という少し変わった紙を使ったり。
本格的でなくてよいのでもう少し気軽にできないかなぁと研究してみました。
その研究結果(?)とともにカリグラフィーとの組み合わせ方をお伝えします。

作品はリトル・ギャラリー サマーカードをご覧ください!

【基本の道具】

カリグラフィー インクアート材料
今回使った道具のご紹介です(左から時計回り)。
・マットフォトペーパー
・スポイト
・消毒用エタノール
 ★エタノールを小分けする容器も用意してください!
  本来無水エタノールを使うので手に入る方はお試しください。
     無水エタノール:濃度99.5%以上
     エタノール   :濃度95.1~96.9%
     消毒用エタノール:濃度76.9~81.4%

・アルコールスプレー エタノール75%以上
 ★ご自分でスプレー容器にエタノールを入れて保管する際はアルコール対応の容器をお使いください。

・アルコールタイプのイラストマーカー
 写真では MEPXY
        ダイソー(2本で一組!!!)
・マスキングテープ


カリグラフィー インクアート 紙
紙はマットフォトペーパーの裏面を使います(写真右上)。
この白っぽい輪郭(ハートの下側が分かりやすいです)を作りたいのです。

写真の中央はマットフォトペーパーの表面。
回りはタント紙です。
滲み方が紙によって違うのは明確なので、作風で紙を使い分けられます。

今回はマットフォトペーパー裏面だけで説明させてください。



カリグラフィー インクアート 水とエタノール
どうしてアルコール類を使うかというと水ではできない滲みを作りたいからです。

上記でご紹介したイラストマーカーに水とエタノール75%を垂らしてみました。
結果はこの通りです(^-^)

カリグラフィー インクアート除菌スプレー比較
エタノール、なぜ75%以上を使うかというと、それ以下だと滲まないからです。
ミツエイ、西友、75%(株式会社セラ)とメモっているのは除菌スプレーの比較です。
左2つは滲まなかったのでたぶん75%以下なんだな(表記なし)と判断。
この後ダイソーの63%除菌スプレーを使ってみましたが滲みませんでした。

それぞれの左上に引いた線は油性マーカーのゴールドです。
滲むかなぁと期待しましたが滲みませんでした(^^;)
本式ではゴールドやラメは輸入物を使うようです。

今回は特殊な画材はなしで出きることの説明を続けます!


カリグラフィー インクアート クリアブレンダー
今回見本の作品では使いませんでしたがもう1つ画材をご紹介。
ダイソー(2本で1組)のクリアブレンダーです。
イラストマーカーをぼかすのに使います。上の写真をご参照ください。
ピンポイントでぼかしたい時に便利かと思います(^-^)
【模様の作り方基本】
カリグラフィー インクアート 模様の作り方基本1
具体的に模様を作ってみましょう。
まずイラストマーカー2色のBROAD側を使います。
楕円を書いてからぐるっと輪っかで囲みます。

カリグラフィー インクアート 模様の作り方基本2
アルコールスプレー エタノール75%をブシャッと吹きかけます。

カリグラフィー インクアート 模様の作り方基本3
上写真左側上が上記のエタノールスプレーで滲んだ後です。
左側下では消毒用エタノールを垂らしてみました。
どちらも滲みました。

この方法を取り入れた作品が下記になります。
カリグラフィー インクアート 見本1

カリグラフィー インクアート 見本2

カリグラフィー インクアート 見本3
ついでですがエンボスと組み合わせても面白いですよ。
エンボスの方法は121.スパッタリングとエンボスをご参照ください!      
【ハートのミニカードで練習】
カリグラフィー インクアート ハートのミニカード1
では実際にミニカードを作ってみましょう。
鉛筆で薄くハートが気を書き、中央にマスキングテープをお好きな幅で貼ります。

カリグラフィー インクアート ハートのミニカード2
もう好きに塗っちゃってください!
ただし下記についてお気を付けください。
 ・必ずアルコールタイプのイラストマーカーのみ使ってください。
 ・鉛筆で書いたハートの少し内側を塗ってください。 
 ・アルコールインク、エタノールは水よりも浸透しやすいようです。
  紙の下をよごしたくない際はカッティングマットやチラシなど汚れて良いものを敷いてください。

  ※ このタイプのイラストマーカーはマスキングテープが滲んで色が少し浸透します。
     ただ今回はこの現象も雰囲気づくりに活きてくるので気にしないでください。

カリグラフィー インクアート ハートのミニカード3
消毒用エタノールとスポイト、エタノールを入れる容器を用意します。
カリグラフィー インクアート ハートのミニカード4
ハートの上にエタノールを一滴ずつ垂らします。
エタノールが乾かないうちに紙を手に取って液体を動かすと新たな滲みや混色が生まれます。
この手法はたらしこみと言って日本画や水墨画で使う技法です。
学校の美術の時間などで似たことを習った方もいらっしゃるかと思います。

カリグラフィー インクアート ハートのミニカード5
エタノールをたらし終わったら紙を乾かします。
その後マスキングテープをゆっくりゆっくり剥がします。
この剥がした後に短い言葉を書いたらほぼ完成です!

※ マットフォトペーパーの裏面を使う一番大きな理由は表面より少し字が書きやすいからです。
   裏面はコーティングしていないので上滑りしにくいです。
   表面でも書けるので使ってもいいのですが、マスキングテープはくっつきやすいです。

   マスキングテープを使う際は特に裏面をお勧めします。

カリグラフィー インクアート ハートのミニカード6
紙をカットし、パンチで穴を空けて紐を通して出来上がり。
この紐は少し変わっていて、以前紙博に出店していたハチマクラさんで買いました。
ドイツ製でロクタ紙をよって紐状にしています。

どんな色のイラストマーカーを使ったかで仕上げの紐も色々工夫できそうですね!

動画で確認したい方は下記をご確認ください。

【ドローイングガム & 水彩絵具】
カリグラフィー マスキング ドローイングガム1
インクアートではありませんが合わせてこちらの方法も知っておくと便利かと思います。

ペベオ ドローイングガムです。

カリグラフィー マスキング ドローイングガム2
マスキングの方法は過去お伝えしてきました。

最近ペベオのドローイングガム0.7mmを見つけまして、これは直接字が書けて便利だな、と使ってみました。
0.7mmよりは太い印象ですが、少し筆圧をかけて書けば均一に液体が出てマスキングリキッドと同じように固まります。

その上に透明水彩絵具(インディゴ、エメラルドグリーン、ゴールド)をたっぷり塗り、乾く前にティッシュオフ。
紙が乾いたらミツワ ラバークリーナーでドローイングガムこすり落とします。
この工程は動画を作りましたので下記をご参照ください。



カリグラフィー マスキング ドローイングガム3
このドローイングガムをインクアートと組み合わせられないかな?
と思って試してみました。

残念ながらアルコールによってドローイングガムがちょっと溶けるみたいで少し色が付いてしまいます。
紙の地色を活かしたい際はインクアートではなく水彩系の絵具やインクをご利用ください。

では今回の見本作品はリトル・ギャラリー サマーカードを観てくださいね(^-^)