
カリグラムをご存知ですか?
単語や文章を何かの形に見えるように並べた作品のことです。
フランスの詩人、アポリネール(1880-1918)の造語です。
ただ中世の頃にはこのような考え方が出てきて
写本にも残っています。
ちょっと面倒な感じも受けますが、
うまく理想の形に文字が収まった時の
快感は何とも言えません。
今回は本来のカリグラムから少しずれた
簡単な方法を取り入れながら
夏を演出するお手伝いをしたいと思います。
リトル・ギャラリーもどうぞ(^_^)
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【うさちゃん切り絵】

最初はうさちゃんでなく女の子型のカードをイメージしていました。
なので第一段階のスケッチは女の子のスカートをイメージしています。
台形に”HAPPY SUMMER”をあてはめます。
台形の輪郭に文字が沿うように変形させること、
デザインがごちゃごちゃしないように”MM”を合字にしていること、
それとどこかでローマンキャピタル(ローマ大文字体)を意識すると
崩れ過ぎず文字を決まった形の中に配置出来ます。
次に”HAPPY SUMMER”部分をトレぺの上から鉛筆でなぞります。

なぞったら本番用の紙の裏側にトレぺの表面を当て、
トランサーのへらのほうで強くこすります。
このこすって転写する方法は井上美紀子先生に教わりました(^_^)
ただし今回は文字が反転したままの状態で転写です。
なぜかというと

本番用の紙の表面がチェック柄で目がチカチカするので
裏面の白い紙を表にして文字を切り抜きたかったからです(^_^)
当初イメージした女の子型だと参考にしづらいかと思い、
途中からうさちゃんに変更。
うさちゃんの顔、手足の型紙を作って(写真左側)
本番の紙を重ねて切り取りました(^_^)
後は貼り合わせるだけ。
顔もお忘れなく! |
【丸いクジラのカード】

クジラはどの種類でも細長い動物ですが、
私たちはイメージとして写真のような盛り上がった形をクジラに対して持っています。
それを利用してまずシンプルな型を用意します。
平均的な色画用紙の暑さ程度で型紙は作れます。
まずベースになる色を筆でバーッと塗りましょう。
その直後軽くティッシュオフします。
ベースの色は濃すぎないように気をつけてください。

ベースが乾いてから文字を書きます。
少しはみ出るくらいにクジラの形いっぱいに書きます。
ここで典型的なカリグラムでは”Whale”と書いたほうが良いです。
言葉と形が一致するものだからです。
ただ今回は気軽にチャレンジできるようにお好きな言葉で良いと思います。
写真はスピードボールのC-3で書いていますが、
まだC-2しか使っていない方は”Summer”だけとかにしても
大丈夫です。
字が乾いてから型を外してください。
仕上げはリトル・ギャラリーへ(^_^)
【大きいクジラのカード

今度は若干リアルなクジラです。
子供用の動物図鑑がシルエットの確認には便利です。
前述と同じように色画用紙で型紙を作り、本番用の紙の上に乗せます。
そしたらマスキングインクを筆につけて元気よく字を書きましょう。
マスキングインクの使い方は
下記をご参照ください。
かなり古いページもありますが、
どんなことができるかはお分かりいただけるかと思います(^_^)
99.マスキングインク・ペンタイプを使う2
98.マスキングインクを使う
39.マスキング・リキッド&スパッタリング
15.マスキングフィルムとリキッドを使う
2.マスキング・リキッドの使い方
カッパープレート体を軽く崩したような書き方です。
今時こういうのはモダンカリグラフィーに入るのでしょうか?
書くと決めたらのびのび書くのがコツです。
それとやはり少し字がはみ出ます。

マスキングインクが乾いたら水彩絵具でクジラ全体を塗ります。
塗るというよりスポンジを使うので軽く叩く感じです。
透明水彩絵具のプルシャンブル―を使いました。
ホルベインのイリディッセントメディウムを混ぜて少しキラキラさせています。
このメディウムは雲母が入っています。

絵具が乾いたらゴム化したマスキングインクを剥がします。
写真のような専用ラバーが売られていますがなければ
指でゆっくり剥がしてください。
仕上がりはリトル・ギャラリーへ |
【ダックスフント型】

文章をカリグラムにする際、まず普通に文章を書いてから
細かく切って形の確認をするという方法もあります。
写真ではなんとなくダックスフントの長い体っぽくなるように
切って並べました。
文章に”dogs”が出てくるのでカリグラムらしい作品が作れます。
さて、どう仕上がったでしょうか?リトル・ギャラリー
【レモン型】

レモンが出てくる格言をレモン型に収めました。
こちらはレモンの中にギッシリ字を収めるため、文字サイズを変えたり
変形させたりしています。
写真のような濃い紙の上にレモン色を出したい時は
必ずイエローに少しだけ白を加えてください。 |