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セルティック大文字体 説明
このページは
概要 及び I,O,N,H,C,E,L,V,W,A
(”HALLOWEEN”練習)
グループ1:I,N
グループ2:O,C,D,E,G
グループ3:L,T,U,Y
グループ4:H,M
グループ5:P,Q,R,K、B

グループ6:V,W,A
その他:F,J,S,X,Z

セルティック大文字体(Celtic Capital letters)の説明です。

”celtic”は”keltic”とも書きますが、”ケルトの”という意味です。

ローマ軍に侵略される前の古代ヨーロッパケルト族の文化を指しますが、カリグラフィーでセルティックと
言えば、主にアイルランドの孤島の修道院で作成された書物で使われた文字を指します。

アイルランドのキリスト教化は5世紀と言われていますが、
7世紀に作成された”リンディスファーン福音書”(大英博物館蔵)
8世紀に作成された”ケルズの書”(ダブリン・トリティニーカレッジ蔵)
この2冊が代表的な書物としてあげられます。

ローマ軍によってもたらされたローマ大文字体アンシャル体等の影響を受け、各島・修道院で書体が形付けられていきました。

従ってセルティックに属する書体を1つの書き方で完全にまとめられるものではありません。
また、今回説明する書体は写本の各ページのタイトル部 あるいは 文頭の一文字目に使われます。
通常の文章は別の書体が使われますが数種類あり、アンシャル体ハーフアンシャル体の系列です。

イギリスの”HEADLINE BOOK PUBLISHING”から1994年に出版された
”The art of Illuminated Letters"(A PRACTICAL GUIDE FOR CALLIGRAPHERS)
を参考にしていますが、この中での説明は簡略化しているのでもう少し書き易いように独自の解釈を付け加えています。

この本は何年か前に邦訳が出ていたのですが元の本より装丁が劣っているように感じたので買いませんでした。
今現在どうしたら手に入るかはわかりません、すみません。

長々説明しましたが、ケルトは学術的に取り組めばキリがないので、なるべく楽しくチャレンジできるよう、説明していく所存です。


Xハイトはペン先22個分、ガイドラインは上下2本です。
文字を形付ける考え方がローマ大文字体に似ていますので、方眼紙の上で練習
すると、何かと便利です。
今回はスピードボールのC-5(1ミリ幅)を使って練習していますので、Xハイトは22ミリです。

難易度は高いほうなので、ペンに慣れていない方にはお勧めしません。
別の言い方をすれば、写字僧の気分が味わえます(黙々と練習するのが好きな方にお勧め!)
基本のペン先の角度は0度です!
後は70度、90度も出てきます。

0度は人間の腕や手の関節には不自然な
ペン構えになるので、疲れやすいです。

手首の弱い方は御注意を。。。


基本練習1
”I”が基本中の基本です。

書き順1 緩いカーブで入ってから真っ直ぐラインを下ろします。
      下で同じ程度の緩いカーブを描き、右方向へ細い線で
      カーブを出します。

書き順2 書き順1の逆です。
      書き順1の始点からカーブを描き、左右対称になるよう心がけながら
      下まで降りていきます。

垂直に降りる際は書き順1とはぎりぎり間が空かない程度に重ねるのがコツです。
この2本線によって1本の主線が成り立ちます。
2本線の重ね具合は他のアルファベットも同じにして下さい。

右端は書き順1・2のみの状態です。白く空いているところはペン先で塗りつぶします。

※ セルティック大文字体は空白を塗りつぶす作業が多いです。
  また、ラインを重ねて形をつくるので、紙を痛めやすいです。塗りつぶす時は無駄な
  動きを減らすよう、ペン幅を工夫して下さい。

※ 0度に慣れていないと途中で角度が変わりがちです。”I”が書けないと
  先に進みようがないので、ここで十分に0度に慣れてしまって下さい。


基本練習2
”o”がもう1つの大切な形です。。

左右対称の楕円になります。

書き順1 左の内側を描きます。

書き順2 右の内側を描きます。

書き順3 左の外側を書き順1と隙間ができない程度に
      重ねます。

書き順4 右側の外側を左側と左右対称になるように
      意識して描きます。

※ 左右の始点・終点は必ず細い線になります。
   ならない時はペン先が0度か確認して下さい。


今、ハロウィンカードをつくった時期なので(2003年10月)”HALLOWEEN”が書けるように練習します。
書体に慣れるのに丁度良いスペルです。
”N”です。”H”じゃないです。
でも”I”の練習をすぐに生かせるので書いてみましょう。

書き順1 ”I”の書き順1参照。

書き順2 ”I”の書き順2参照。

書き順3 途中まで書き順1と同様。
      最後だけカーブを描かずに、ガイドラインに沿って水平に

書き順4 書き順2と同様。

書き順5 下から4分の1弱を目安に左から右へ斜線を引きます。
”H”です。

書き順1 ”I”の書き順1参照。

書き順2 ”I”の書き順2参照。

書き順3 Xハイト上3分の1から半円を描きます。
      後半は書き順1と同様。

書き順4 書き順3の右側に重ねます。
      後半は書き順2と同様。

右側は書き順1〜4まで。
最後に空白を塗りつぶします。
”C”です。


書き順1 ”O”の書き順1のように半円を描いたら、
      そのまま右上に向かってペン幅の太さが出るまで
      カーブします。

書き順2 書き順1の始点から頭の内側を書きます。

書き順3 書き順2の始点から頭の外側を書きます。

書き順4 書き順1の外側を書きます。
”E”です。

書き順1〜4は”C”と同じです。

書き順5 Xハイトの中央から横線の上側を書きます。

書き順6 書き順5の始点から横線の下側を書きます。

”L”です。
”O,C,E”で楕円に慣れたところで書くと楽です。

書き順1 ”L”の外側を書きます。下半分のカーブはふっくらと。

書き順2 書き順1の始点から上ガイドラインを少し飛び出します。
      ドロップ型の左半分を書くイメージでカーブを描きます。
      ペン先の右側を使って細い線を出して下さい。

書き順3 ペン先をお馴染み45度に構えて書き順の上にセリフを加えます。

セリフの書き方は右側のアップを参考にして下さい。
”セリフ”の意味が分からない方はこちらを。



ここからさらに難しくなります。
でもここを乗り切れば以降のアルファベットが楽に感じます。
70度の斜線を練習します。

面倒ですが、イタリック体の文字の傾斜用のように予め
ガイドシートに斜線をたくさん引いておきます。

左から右へ降りる斜線、右から左へ降りる斜線、どちらも
もちろん0度です。
”V”です。
書きなれるまでは、V字のガイドライン(赤線参照)を引いておくと練習しやすいです。

書き順1 左の外側から斜線を書きます。

書き順2 書き順1の始点から短いカーブを描いてから左の内側を書きます。

書き順3 右の内側を書きます。書き順2の終点と重なった時、内側の余白に鋭い角を出来るように意識します。

書き順4 右の外側を書きます。書き順3の始点から短いカーブを出す時出す時、左右対称になるように。

書き順5 0度のペン先で線を引くだけでは底の鋭い角は書けません。
      ペン先を70度に持ち替え、角を付け加えます。
”W”です。
やはりW字のガイドライン(赤線参照)がお勧めです。
真ん中のクロスしているところはXハイト上3分の1でガイドラインを引くと綺麗に書けます。
青△のように下の△が上より大きくなります。

書き順1 左の外側から斜線を書きます。

書き順2 書き順1の始点から短いカーブを描いてから左の内側を書きます。

書き順3 書き順2の斜線と平行に真っ直ぐな斜線を引きます。

書き順4 書き順2の終点に向かって真っ直ぐな斜線を引きます。

書き順5 ペン先を90度にし、書き順3と4の間を線で結びます。

書き順6 ペン先を0度に戻し、右内側の斜線を引きます。

書き順7 左と対称になる短いカーブを描いたら、右外側の斜線を降ろします。

書き順8 ペン先を70度に持ち替え、2箇所角を付け加えます。
”A”です。
V字を逆さにしたガイドライン(赤線参照)が便利です。

書き順1 左の内側から斜線を書きます。

書き順2 右の内側の斜線を引き、短いカーブを出しておきます。

書き順3 左の外側を書きます。書き順2と対象の短いカーブを書きます。

書き順4 右の外側を書きます。

書き順5 ”A”の左側から中心に向かって短い斜線を引きます。Xハイトの下3分の1の高さを目安にします。

書き順6 今度は右側から斜線を引きます。

書き順7 ペン先を70度に持ち替え、角を付け加えます。

書き順8 屋根を書きます。0度でスタートしますが、途中で逆手になり、終点で0度に戻ります。
       書きづらい時はここだけ繰り返し書いてみて下さい。”A”の幅よりちょっと大きいぐらいに練習して下さい。