カリグラフィー・パラダイス ロゴ

ギルディング最低限の基本

カリグラフィー・テクニック TOP
カリグラフィー・パラダイス
MAIL
Vol.125 2022年7月
ギルディング 最低限の基本

数年おきに取り上げているギルディング(金箔貼り)。
その時の生徒さん達の状況見て少しずつ内容を変えています。

今回は全く初めての方は最低限の知識を、何度も説明を受けている方はそろそろこのくらいは出来てよね、
とポイントを抑えた内容にしてみました。

過去のギルディングの説明と比べると違いやここでは説明していない点も見えてきて面白いと思います!

93.細密画もどき
91.ギルディング基礎 初級・中級・上級
78.2013年前半の応用
76.変種ギルディング
73.ギルディングの基本確認
62.文字をギルディング
14.もっと簡単ギルディング
6.ギルディング(金箔貼り)


リトル・ギャラリー  お祝いカードもご覧ください!
【ギルディングの基本】
ギルディング 最低限の基本1

ギルディングには色んなやり方があります。
このページではギルディング糊を使った場合に絞ります。

上の糊は日本カリグラフィースクールで購入しました。
同質の糊はあまり市販されていないのでいつもこちらで購入しています。

その隣はダイソーのネールアート用の筆です。
カリグラフィーやイラストがお好きな方は愛用されている方も多いのではないでしょうか。
気軽に毛先を自分好みにカットできるし8本セットなので色分けなど色んな使い方が気軽にできます。

その隣はメーカーは不明ですが画材屋さんで買いました。
この程度の毛先は少し広い面にギルディング糊を塗りたい時に便利です。

ギルディング 最低限の基本2
1cm四方くらいの正方形を鉛筆やシャーペンで極力薄く書きます。
薄く書いていただきたい理由ですが、万が一金箔が引いた線を覆いきれなくても目立たないからです。
金箔を貼ってからの消しゴムかけは困難ですのでご注意ください。

写真のようなテンプレートをお持ちの方はぜひご活用ください。
ただし練習なのでフリーハンドで構いません。時間をかけずにササっと!

ギルディング 最低限の基本3
ギルディング糊は新しい状態だとインクと同じくらいの水っぽさです。
写真の2015年に購入した糊は3重に密閉していたので時々蓋を開けてもいい状態を維持しています。
同時期に購入して一度も蓋をあけなかった生徒さんの糊ではかなり固まったケースがあります。

使う予定がないのであれば購入しないほうが良い道具かな、と思っております。

すでにギルディング糊をお持ちの方で写真よりも堅そうな状態だったりやたら気泡が出る場合は気を付けてください。
器に少し出してから水を加えるか、使わないほうが良いと思います。

ちなみにこの2015年製、先日無事に使い切りました。

ギルディング 最低限の基本4
正方形の上にギルディング糊を塗ります。
”塗る”というより”盛る”が近いです。
糊が少し膨張するくらいが表面がツルンとしてベストです。
ただこう説明するとこれでもか、というくらい盛る方が出てくるのですが盛り過ぎは乾かすの時間かかりますよ!

七宝焼きの経験がある方には”あんな感じで”で通じます。

ここではネイルアート用の筆で正方形中心にギルディング糊を盛り、少しずつ広げました。
縁を塗るのは皆さん苦手なところなので今回は爪楊枝を使いました。
爪楊枝だと筆よりは縁を塗りやすくなりますが、可能であれば輪郭線のかすかに外側まで塗ってください。

白い部分が透明になるまで待ちましょう。

ギルディング 最低限の基本5
金箔をプラ板(ダイソーで購入)の静電気で吸い上げます。
本来は竹製の箔ばさみを使います。
昔から使われてきた道具で金箔を傷つけにくいです。

ただ長年数年おきにギルディングを説明してきて箔ばさみを購入した生徒さんはどのくらいいるでしょうか?
残念ながらごく僅かです。
他の道具に関しても自ら手に入れて使ってみようと積極的な方は案外少ない印象です。
なのでさすがに100均なら行くことあるよね、ということでプラ板を今回推奨してみました。

あくまで私の教室の様子を見てのプラ板使用なのでベストとは言い切れない事ご承知の上参考にしてください。

金箔は様々な種類がありますが、ここでは洋箔(真鍮箔)を使用しています。

ギルディング 最低限の基本6
絶対に金箔を素手で触らないでください。劣化を早める元になります。

金箔を扱う際は間紙(金箔と金箔の間に入れる薄い紙)もうまく利用します。
プラ板で吸い上げた金箔を正方形の上に置いたら間紙で金箔とプラ板を離します。

そのあと金箔の上に間紙を置いて指で上から押さえます。
時々間紙をめくって糊付けした部分がしっかり浮き出ているか確認してください。

ギルディング 最低限の基本7

乾いている筆で周囲の金箔を取っていきます。
力を入れずかつ細かく毛先を動かすと取れてきます。
焦って力を入れると糊にくっついていた箔まで剥がしてしまう可能性があります。

純度の高い金箔を使う際はリスの毛などかなり柔らかい筆を使います。

ギルディング 最低限の基本8
筆だけでは縁にかすかな金箔が残ったままの時があります。

可能であれば肌理が細かいメガネ拭きやセーム皮で表面をそっと拭ってください。
残った金箔が自然と取れて心なしか表面も輝きが増す気がします。

本来は絹が推奨されますので不要になったスカーフもいいですね!
ギルディング専用にこれらを用意することをお勧めします。

さて、ギルディングの基本練習はこれで1つクリアですが折角なのでこれをカードに使いました。
トップ写真のメルシーカードです(^-^)
こんな感じでギルディングをどんど応用してくださいね!


【三つ葉のケルトノット】
ギルディング 三つ葉ケルトノット1

この機会にシンプルなケルトノット(ケルト風の組紐模様)の書き方をご紹介します。
三つ葉型のケルトノットです(trefoil knot)。
上の写真ですぐお判りでしょうが、

 1. まず正三角形を書きます。
 2. 各辺の中心点を測ります。
 3. 中心点と三角形の角にコンパスを当て、半円を描きます。
 4. お好みのノットの横幅にコンパスを縮めて半円を描きます。

これで図面は引き終えたことになります(^-^)

ギルディング 三つ葉ケルトノット2
出来れば字を描いてから図面をトレース、そしてギルディング糊を塗りましょう。
白いギルディング糊は白い紙の上だと見づらいのでほんの少し絵具を加えます。

万が一金箔がうまく貼れなかった時に備え、イエロー系がお勧めです。
ケルトノットは互いの紐の上を通る、下を通るを繰り返すので糊を塗る際は間違えないように集中してください。

ギルディング 三つ葉ケルトノット3
上記の容量で金箔を貼りました。

ギルディング 三つ葉ケルトノット4
不透明水彩の黒で縁取り。細い筆を使います。
ケルトっぽくなってきました。
不透明水彩やポスターカラーを使えば金箔の上も彩色できます。
最初は絵具を弾きますが繰り返し塗ってみてください。

ギルディング 三つ葉ケルトノット5
不透明水彩の赤(カドミウムレッドディープを使いました)で周囲にドットを打ちます。
ネイルアート用スタイラス(ドット棒:これもダイソーで購入)だと一発で点を打てました。

さて、”BFF”ってなんの略でしょうか?

リトル・ギャラリー  お祝いカードをご覧ください!