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初心者のためのカリグラフィー講座 Calligraphy Paradise

カッパープレート体基本練習Copperplate


カッパープレート体について

カッパープレート 練習 - copperplate  -
カッパープレート体です。
道具は先の平たいペン先とは全く形状・使い方が異なります。

アルファベットの形自体は、イタリック体を基盤にしています。
銅版画の製作が盛んだった17世紀、薄い銅板にニードルで文字を掘るために作られた書体です。
銅=Copper、板=Plate
当時の銅版画の廻り、本や楽譜の表紙などに使われています。
18世紀以降も使われ日常生活の走り書き用として、または美を極める装飾文字として二極化していきました。

このページは。。。基本練習1〜5
基本練習6〜8&小文字(i,t,u,w)
小文字練習(m,n,r,v) & 綴り方1
小文字練習(o,a,c,e,x,r,s) & 綴り方2
小文字練習(p,g,j,y,z,q,l,b,h,k,f,d) & 綴り方3
大文字練習(A〜D) & 綴り方
大文字練習(E〜L) & 綴り方
大文字練習(M〜Z) & 綴り方
大文字アレンジ&数字

カッパープレート体に取り組むにあたって

カッパープレート体ガイドシート

この書体に憧れる人は大変多いと聞きます。
ですが難しい書体でもあります。
まさに自分の腕一本で全てが決まるため、他の書体より心身の状態が影響します。
充分な鍛錬が必要です。
”2週間後に友達が結婚するからお祝いカードを。。。”というような
短期間の取り組みには全く向きません。
どうしてもこの書体で、と言う場合は形だけ真似て、ボールペン等で書く方がよほどきれいに書けます。

長時間の練習で手が疲れてくると、この書体はムキになって続けるほど書けなくなります。
疲れてきたらパッとペンを置いて、目視で練習の経過をチェックして下さい。

ハッキリ言ってせっかちさんより、のんびり屋さんに向いている書体です。

そして一生懸命練習して身につけても長い間書かないでいると腕が落ちてしまいます。
そういう時は下記の基本練習に立ち返るような厳しい書体です。

でもカッパープレート体が書ければ胸はって”私カリグラフィー書けるんだ”と言えます。
ぜひ頑張って下さい!

ガイドシートをつくってみましょう


1.Xハイト(小文字の高さ)

今までの書体では”ペン先の幅幾つ分”という考え方で文字の高さを決めてきました。
カッパープレート体は1種類のペン先で様々な高さの文字を書きます。

また、大きめに練習して形を整えることに慣れていきます。

このサイトではXハイトを1pとして練習します。測りやすいかと思いまして。
手を動かしていてきつい方は7〜9oに縮めて下さい。

それでも大きく感じるかもしれません。
ちょっと頑張ってみてください!

2.文字の傾斜

カッパープレート体の文字の傾斜は通常52度か62度です。
52度が慣れやすいです。
52度だとアッセンダー、ディッセンダーもXハイトと等間隔が基本の考え方になります。

何故52度という半端な角度か、と聞かれると困りますが、
前述の美を極める派の人々が何度が美しく見えるかと探求した成果だと思います。


早速ガイドシートを作ってみましょう。
一度ご自分でガイドラインを引いてみることをお勧めします。
52度がどのくらいか、ご自分がどのくらいのサイズの文字を練習するのか体で分かります。

ただ長年カリグラフィーを教えてきて思うのは人って測るのが嫌いですね(^-^;

ガイドシート情報は道具の紹介をご確認ください!
ジェネレータ、PDF情報を載せています。

道具の使い方

1.カッパープレート用ペン先とホルダー

カッパープレート体 道具
ペン先は線質や感触の違いなどで使い分けます。
先が平らなペン先は使いません。
針のように先が尖っているペン先で力を加えると二股にわかれ、間からインクが出てきます。

カッパープレート体の基本練習に使うペン先はHUNT IMPERIAL101。
表面に刻印されているので、すぐ判ります。

ペンホルダーはオブリーク(oblique=斜めの)ホルダーを使います。
写真の通り、持ち手が右側、左側がペン先です。

主に画材屋さんなどで売られているオブリークホルダーは写真の真ん中のタイプです。
全体がプラスチック製です。
以前は海外では様々なデザインや材質があるものの、日本では中々買えませんでした。
最近はネットショッピングが充実し、国内外で色々買えるようになってきました。

写真の左2本は国内の雑貨屋さんで買いました。
右2本はアメリカ在住の方のご厚意で買えたマイケル・サル先生作のもの。
サル先生は著名なカリグラファーでペンホルダーもご自分で作成されます。


ペン先は傾斜角度に合わせてホルダーに差し込むのがベストです。

ただし、各自のペンの持ち方でペン先も微調整しなくては、かなり手首をひねって書かなくてはいけません。

下記の基礎練習を進めながら、自分の書きやすいペンの持ち方、ペン先の挿入角度を探る必要があります。

写真は傾斜角度に合わせてペン先を深くホルダーに差し込んだ状態です。

【インクについて】
カッパープレート体 インクの量
普段お使いになっているインクや絵の具をご利用ください。

ホルダーを裏返してペン先にインクをのせます。

穴の形状を目安にインクをのせて下さい。
軽くインクが膨張する程度で大丈夫です。

筆を使ってペン先にインクをのせる際は、まわりに気をつけて下さい。
 気づかないうちにインクが飛び散っている時があるので。


【書くときの注意事項】

さあ、ガイドシートを用意した、ペン先もはめた、
インクものせた、と準備が整えばいよいよスタートです。

でも下記の点は気をつけて下さい。

1.体はまっすぐ
  今までの書体以上に上体が崩れやすいです。慎重すぎて前のめりにも
 なりやすいので、しんどい人は傾斜台を使った方が良いでしょう。

  体を斜めに構える書き方もありますが、初心者で自分で勉強したい方には勧めないです。
  52度がどのような角度か体で理解する前に姿勢が崩れているとペンの扱いも間違いやすくなります。

2.ホルダーの左側がなるべく真正面にくるよう、ペンを持ってみます。

3.紙から45度あげた状態に。
 ペン先ですが、紙に対して近すぎると力を入れにくい、垂直に近づくほど
 インクがどびゃっと出やすいという難点があります。
 
 ペン先の上部が紙から45度離れている事を目安にして下さい。
 

基本練習

【基本練習1】


まずはペンの扱いに慣れてみましょう。
52度の傾斜に合わせて上から下へ線を引いてみて下さい。
線の太さは1oを目安にして下さい。

上記で説明したインクの量だとこの程度線を引けます。
右端の線は途中でインクがなくなった状態です。

この時点で下記の点をチェックしてみて下さい。

1.姿勢・ホルダーの持ち方
2.ペン先のはめ方(ホルダーに対する角度)
3.インクの量

特に2.ですが、傾斜に沿ってペン先が理想の太さで二股に開けばOKです。
この3点が揃わないと必要な太い線は引けません。

【基本練習2】


上から下への太い線に慣れたら下から上への動きになれます。
ベースラインからウエストラインに向かって細い線を出しながら登り、徐々にカーブし、降りるときは
太い線を出します。
この形はとても大切で、”h,m,n,r”等の一部である他、日々の調子を試すのに大切な形です。

この形がきれいに書けなければ、カッパープレート体は書けないと言っていいくらいです。
カッパープレート体に慣れてからも”今日はうまく書けないなあ”と感じたら、無理に先に進めず、
他の基本練習と合わせてこの形を書いてみて下さい。

ペン先のはめ方がわるいのか、持ち方が悪いのか、原因が見つかるはずです。


細い線が出なかったらこの線だけ続けて書いてみて下さい。必ず下から上へ。
何も問題がなさそうなのに、線がかすれたり、太すぎたりしたら、ペン先を眺めて下さい。
先が尖っているため、紙を引っ掻いて繊維がダマになっている時があります。
あるいはインクが固まっているかも。


二本の線が傾斜に対して平行になっているのが良い形です。
さらに上部のカーブ部分が尖りすぎず、広がりすぎずに細い線から太い線へ少しずつ移行して
いることが大切です。

【基本練習3】


基本練習2の逆です。

ペン先に力を入れてから少しずつ力を抜く事になるので、基本練習2より角張った形になりがちです。
この形をひっくり返したら基本練習2と同じ形になるよう、練習します。
基本練習2・3とも同じ幅でカーブ出来るよう、意識するとよいです。

幅ですが、Xハイトに対してこのくらい、という厳密な決まりはないです。
きれいにカーブでき、二本の線が平行に揃っていれば幅も一定してきます。

【基本練習4】


基本練習1〜3を充分に行ったら入る練習です。

動きの前半は練習2,後半は練習3です。
この時点で傾斜とカーブの書き方に慣れていれば比較的楽な形です。